魔法使いさんなので、その内シャバドゥビタッチ変身♪してきそうだなと思っていますw
それはともかく、久しぶりに更新しました。
書きたい話は決まっているのにそこまで至るにもだもだです(笑)
「いただきます」
二人で挨拶して食べ始める。野菜たっぷりの暖かいスープ。軽く温めたパン。そして二人一緒にできる食事。これがなによりのご馳走だ。
「ふふっ、おいしい!」
「そう。良かったね」
主に私がたわいない話をしながら食事は進む。不意に彼から話題が変わった。
「そういえば、舞踏会はいつ有るの?」
「え?」
「ほら、昼間言っていた」
「ああ、お義母様が言うには、ちょうどひと月後だったかしら。それがどうかしたの?」
「いや……。聞いてみただけ。国で開催するならにぎやかになるなと思って」
「それはきっとそうね。他の国からもお客様がいらっしゃるのかしら」
「そうかもしれないね」
「……?」
うーん。騒がしくなるのが嫌なのかしら。魔法使いさんは人混みとか、そういうのが苦手だから……。私が騒いだり、怒ったりしているときも顔をしかめていることが多いし。
この話題はここで終了だったらしく、会話の主導権は私に戻ってきた。
食事を食べて、食器を軽く片付けた頃、また彼から話しかけてきた。
「レッタは、舞踏会の日に何か用事がある?」
「え? 私は、多分……お義姉様方の準備に追われているんじゃないかしら。考えるだけでも、怖いわ……」
「それは大変だね……。その準備が終わった後にでも、ここに来れるかな」
「どうかしら、何時に終わるか分からないから、簡単に約束できないわ」
「何時でも良いよ。さすがに舞踏会が始まる前には準備は終わるだろう?」
「そうね、それは、さすがに」
終わってないと寧ろまずいわよね。
「来れそう?」
「ええ、何時でも良ければ」
「構わないよ。でもそのころには暗くなってるだろうから、気をつけてきてね」
「大丈夫よ。心配性ね」
笑って話が終わる。
めったにない、魔法使いさんからのお誘いだ。私はワクワクしていた。
「じゃあ、またね。夜道には気を付けて」
「はーい。また来るわね」
「うん。おやすみ」
そう言って、彼は無事に帰宅できるようおまじないをしてくれる。
指に薬草を着けて軽く握り、不思議な呪文を唱える。昔は、彼のおばあさまがしてくれていた。
彼女が亡くなってからは、魔法使いさんがしてくれている。
子供の頃は、どこかに行く時は良く手を繋いでいた。でも、大きくなってからは、このおまじないをする時だけしか、こうしてぎゅっと握ってくれない。
それはなんだか、少し寂しい。
「レッタ?」
「えっ」
「どうかした?」
「ううんっ、なんでも。それじゃあおやすみなさい!」
感傷に浸りかけたのを、笑顔でごまかしながら帰宅した。
それからは、舞踏会の準備をしたり、その合間を縫ってこっそり魔法使いさんの家に遊びに行ったりして、あっという間に時が過ぎた。