隠れ日記

『陽のあたる場所』









日の当たる縁側｡そんなところに忍びの姿があるのは不自然だけど､ここ､武田の人々はそれを気にしない｡

目の前には､互いに全力で殴り合う師弟の姿｡
これもまた､武田では日常的な光景だ｡

秋の陽射しに目を細め､大口を開けてアクビを一つ｡
別に眠たい訳ではないし､退屈な訳でもない｡
ただあまりにも､のどかすぎて｡

｢平和だねぇ…｣


響く打撃音｡
風となる衝撃波｡
荒れる庭園｡
崩れる壁｡
壊れる門｡
吹き飛ぶ旦那｡


いやぁ､本当に平和過ぎて怖いくらいだ｡


｢お館様ぁ！｣
｢幸村ぁ！｣

カァ､と､カラスが頭上で甲高く鳴いた｡
(ゴメン｡君のお気に入りの古木は､ついいましがた炭と消えました｡)

紅く染まった葉っぱがハラハラと風に舞い散る｡
綺麗だけど､ずいぶん季節外れな光景だ｡
そう思ったところで､今が秋だったと思い出す｡

なんだ､熱苦しいのは季節のせいじゃなかったか｡

色鮮やかな紅葉の中､ぶつかり合う真っ赤な塊が二つ｡
真っ黒なカラスの存在が､やけにくっきりと浮かんで見えた｡

(カラス､紅く塗ってみようかな｡)
馬鹿げた思考が一瞬浮上したが､真っ赤なカラスなんて逆に目立つ存在だとすぐに気が付いた｡

武田限定で保護色になったところで､なんの意味もない｡

…｡

なんか､今､
｢武田はカラスまで熱血なのか｡｣
って､呆れ顔で笑われる姿が目に浮かんだ｡
そりゃあもう､まざまざと｡うんざりしてしまうくらい鮮明に､目に浮かんできた｡


…あ､ちなみに俺様の頭は赤じゃないから｡
赤っぽいけど､けして赤じゃないから｡うん｡
確かに今は武田に雇われてはいるが､まちがっても俺様を彼等と一緒にはしないで頂きたい｡

そこんところは､なんとしても譲れない｡


譲れない､けど｡


『武田の忍び』というこの居場所が心地好いのは､紛れも無い事実｡

まぁ､多少の熱苦しさくらいなら､我慢してやろうじゃないか｡


｢お館様ぁあ！｣
｢幸村ぁあ！｣
｢ぅお館様ぁああ！！｣
｢ゆぅきむらぁあ！！｣
｢ぅうお館さばぁぁああ！！！！｣
｢ゆぅうきむるあぁぁあ！！！！｣


｢…｡｣




この熱苦しさを『多少』という言葉で片付けられるくらい｡
俺様ももう､武田に馴染んでいるんだと気が付いた｡









End









なんか自分でもよく解らなくなってきた｡

取りあえずこのまま続けたら､
『佐助が四国へ遊び行ってとんでもなく長い長編ＳＳ』
になると思ったので､ここで切りました(笑)

(流れとしては､
→このあと休暇を貰う
→でも無趣味な佐助
→越後はいつも行ってる｡しかもこの時期は寒い
→じゃあ南に行こう
→そーいえば西海の鬼が何か面白い機工造ってた
→見に行こー(あわよくば偵察してきよー)
→おいしいお魚も楽しみだなー
→長曽我部軍と交流
→佐助｢相変わらず熱苦しいね｣
→元親｢武田にゃ負けるぜ｣
→佐助｢まぁ､ウチは大将があれだから｣
→でもそんな武田が好き
な感じです｡)

『佐助､確かカラクリに結構興味もってたよなー､その辺り書きたいなー』
とも思っていましたので､こんな流れを予定していました｡
(もちろん､最終的には武田へ帰ります｡)

…書きたいけど､長文を書くには私のスタミナが足りません｡
ごめんなさい｡
Σこのダメ女を叱って下されお館さばあああああッッ！！(*´Д`)ﾊｧﾊｧ!!(危)


結果として､ただのほのぼのＳＳとなってしまいましたが､１番書きたかった
『武田に馴染んでいる佐助』
という部分は書けたかな､と｡

武田大好きな佐助も､佐助大好きな武田も､どっちも大好きです｡

突然書きたくなって､勢いで書き上げた３０分クオリティー｡
色々拙いですが､まぁ杉沢ってそーゆーヤツです｡


愛だけ感じて貰えれば､それでもう充分｡

武田軍への愛！佐助への愛！
みんなへ伝われぇッい！！



ここまで読んで頂き､ありがとうございました｡

お目汚し失礼致しました｡










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