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最近お使い多くて、暑いから辛い(笑)
こちらからはお久しぶりです。ハロー!ノダです。
朝から胸のざわめきがいっこうに治まらないのを、ため息に乗せる。
歩き出した俺の横にぴったりついた栄口は袖を引く
だが、向き合わずにあえて二人とも前を向いたままだ
「言えよ、気持悪いじゃん」
「何でもねー、喋るとさむい」
「…また、こっちの問題とくっつけて悩んでんの?」
「なんだよそれ」
「別に、阿部っぽく考えてみただけ…根拠はないけどね。」
部屋の前まできて、栄口が無表情で喋っているのに気がついて背中が一瞬ぞっとした。
自分の世界に、思考を否定されること無関心な反応をされることへの恐怖がこみ上げる。もし、俺だけで作り上げてきた空想で生きていたらとしたら
それを考えた時、吐き気がした
「大丈夫?顔色よくないよ、風邪かな」
「違う。平気だ」
「そう、冷え過ぎたのかな」
「おい、さっきの…こっちの問題ってなんだ」
「は?…こっちって、こっちだよ」
「だから、なんだよそれ」
沈黙のにらめっこ大会が開催された
栄口は目を泳がせて、「だから」を繰り返している。俺は、こっちもそっちも問題だらけの生活をしているからどれのことなのか見当がつかない。
鍵をバックから取り出し、停止している手が段々と赤みが無くなり白くなっていく
「べ、別に言いにくいものでもないけど…1回部屋ん中入ってから言う」
寒さに我慢できなくなった栄口に鍵を奪われ、背中を押されるかたちで玄関へ入った。
部屋は昼間の温度を吸収し、当り前だが風も無く温かい。それに続いて生活している部屋
独特のにおいがした
「で?」
「だから、俺たちが一緒にい続けることについて。以上」
そう言って部屋の中にすたすたと奥の部屋へと進んでいく。
問題は何も解決していないけれど、その背中にすこしばかり安心した。とりあえず空想世界に1人ではないようだ。
■阿部と栄口
■リハビリ(CP的な??)
日が暮れるのがずいぶんと早くなり、空気が本格的に冷たくなってきた。
空の高い所に月が見える。
ふ、と気がつくと栄口が月を見上げて立ち止まっていた。その表情が考え事をしている時のものに似ていて、すぐに声がかけられずそれを俺は見つめていた。
しばらくして、顔を下げた栄口は距離を開けて向かい合っている俺を見て肩を揺らして笑う
「何笑ってんだよ、はやく行くぞ」
「月がすごいぞ。」
「冬だから空気が澄んで良く見えるんだろ、それより寒みーよ。」
「いいから、いいから早く見て」
言い合いになるのも面倒なので、素直に促されるまま首を上げ、光る方に目をやる
視界に入る暗闇の面積より小さい月は、俺たちの影をくっきりと作るほどの光を放っている。そこに2D的な表現で言えば、横と縦に飛行機雲2機がクロスを作っているのだ。
「ね、あれすごくない!」
「確かに、すげぇ確率」
しばらく、その場で2人立ち止まり見上げた。
月の光が雲を照らしてキラキラしている。雲にも陰ができている。暗闇だと思っていた夜の空は案外青空で、群青色をしていた。星は本当に瞬くのだ
違う世界に不時着したかのような、そんな気分にすらなってしまう。空気の揺れも感じ取れるほどの空間
「…」
「あ、ごめん。はやく帰ろう、寒いよな」
「すごいけどでも、×だな。あれ」
「あ?あぁ、確かにそういう風にも見えるけど」
俺には、マジョリティーの中のマイノリティーはどんなに輝いていてもそれはどこかで誰かから否定される状況に見えた。
こんなに周りを巻き込む力があっても×がつけられてしまう残酷さ、逆に×をつけた側は光をうけて否定をする事で輝きを増している皮肉な環境
俺が、こいつが、認め合って一緒にいることを同意してんのに世間には何も言えない。
今更、何を変えようとしても特別な地位にない限り俺たちはこのままの俺達でいなければならない。何もない顔して、好きな芸能人でタイプを誤魔化し世間の人間といるだけで閉鎖空間に追いやられ、きっと誰かを傷つけていかなければならない。俺たちも傷ついて、両方の手で口を塞ぐ
「月に×、禁止だ」
「だから何?」
「何でもない。帰るぞ」
意味がないから言わない。言ってもなにも始まらないから俺は、自己完結させるのだ。
言わないと分からない、だから言わない
でも、こいつはたまに言わなくてもわかる時があるから、こわい存在だ。
性 別 | 女性 |