咲良が審神者になってからというもの、クラスメイトとの距離感は今までと同じであった。
本丸で暮らすこと以外は今まで通りの生活を、ということもあり、
咲良は一安心していた。
「……………………つまりあれ?小狐丸は主を呼んでいたわけ?」
「そうですなぁ。1人でいるのもつまらないと思っていたところですよ。」
「………ふーん。でもさ、主が来なかったらどうするつもりだったの?」
「無論、探す予定でしたよ?
でも主様の方から来てくださったのです。」
グラウンドで体育の授業に参加する咲良を見守りながら、清光は小狐丸と話をしていた。
「でもさ、時間遡行軍に目をつけられるなんて主も大変だったね。」
「正式に審神者になる前の人物を狙うとは………敵も相当焦っているようですね。」
「みたいだね。…………でもまぁ、被害が甚大じゃなくてよかったじゃん?」
「増援が来ていればさすがの私でも無理がありましたよ。
主様は霊力が高いとはいえ、まだ子供ですし、できることも限られています。」
「その辺は俺達がうまくサポートすればいいよ。なんてたって、主の刀剣男士だし?」
「そのつもりですよ。」
「………あ、小狐丸!危ない!」
サッカーボールが飛んできたので小狐丸はそれを両手で受け止めた。
「おお、ナイスキャッチ。」
「これぐらいは造作もないことです。
主様、はいどうぞ。」
「ありがと、小狐丸。2人とも真面目で助かるよ。」
それだけ言うと咲良はサッカーボールを持って2人から離れた。
「………………で?主の両親からは何も返事が来ないわけ?」
「多忙だと仰っていましたが、さすがに1週間も経っているのに
連絡の1つもよこさないとは………………。
主様に無関心なのでしょうか。」
「うーん…………。一応政府も育児放棄されている可能性があるってことで調べるって
言っていたし。」
「………何にせよ、主様の成長に弊害を及ぼすものは切り離した方がよさそうですな。」
「そうね。」
続く。