話題:今日見た夢
メディアの影響と脳内設定がドッキングするとこんなにもリアルになるのかと…。



2つの組織が合併・再編されてから約1ヶ月。新生ゼルフェノアは徐々に残党怪人に関する調査報告を上げていく。


宇崎・小田原・蔦沼真治・西澤の組織上層部はリモート会議中。


「残党の強化態は駆逐されていますが、厄介なのは擬態型ですね。今まで出現したタイプとは異なる怪人だ」
西澤が説明。真治が付け加える。

「それについてなんだけど、擬態型は人間以外にも擬態して人間界に紛れ込んでいることがわかった。無機物にも擬態する。今までの怪人は人間だけに擬態していたが…知恵をつけたのかもしれない」
「厄介だなぁ」宇崎はうへぇと言った反応。

「ゼノクから二階堂を後方支援班に3日くらい派遣させるから、紀柳院によろしく伝えておいてね」
西澤はさらに付け加えた。

「なぜ二階堂を後方支援班に?」
「擬態型の調査、後方支援班からは数名行くでしょ?二階堂なら装備が装備だから、すぐに対応出来るからね。紀柳院とも仲いいし」


数日後。本部・後方支援班に二階堂が一時的に来た。

「鼎さんと一緒に任務出来て嬉しいです」
「あくまでも今回は調査だぞ。怪しい場所があったから行くんだ。私はブレードと銃装備で行くがな」
「ブレード?」二階堂はきょとんとした反応。

「対の刀が使えなくなったから室長が似たような日本刀型の武器を作ってくれたんだ。そろそろ室長に呼ばれると思う」
「呼ばれる?」
「調整を頼んでいたんだよ」

後方支援班はほとんど戦闘隊員で構成されている。調査でも武器は装備。


本部・司令室。宇崎は鼎に日本刀型ブレードを渡した。

「鼎、ブレードの調整終わったぞ。これで使いやすくなる」
「ありがとうございます」
「これから例の場所に調査か?」
「はい」

「着ぐるみには気をつけろよ。その場所の擬態型は着ぐるみ疑惑が出ている」


二階堂を入れた鼎を含む後方支援班数人は、とあるイベント会場へと向かった。そこでは子供向けのイベントが行われている。行った日は週末。

「わー、イベントやってますね〜。子供がいっぱいいますよ〜」
「二階堂、子供が好きなのか?」
鼎はなんとなく聞いた。
「好きですね」
「二階堂…早速お前目当てに子供の人だかりが出来てる。早く撒け!」
「えっ?あ…はい」


イベント会場から少し離れた場所。二階堂は息を切らしていた。鼎は淡々としてる。

「その義手と義足がカッコいいから来たんだろうな。子供達は。見た目がサイボーグっぽいし」
「ゼノクでも入居者の子供達に人気ですからねー。鼎さん、私…サイボーグみたいなもんですから…」

自分で言っちゃった。彩音は遠目に会場を双眼鏡で見る。
「鼎、室長は『着ぐるみに気をつけろ』って言ってたんでしょ?」
「あぁ」
「今のところ何もないけど…。会場行かなきゃ擬態がどれかわからないよ」
「行くしかないな」


再びイベント会場。着ぐるみの動物はねこやうさぎ、くまやパンダがいる。
着ぐるみは風船を子供達に配っているグループと、何やら子供達とダンスのようなゆるい遊びをしているグループに分かれている模様。

「擬態型…全っ然わからん」
彩音はぐぎぎ…と言った反応を見せる。

「なんなら一緒に混ざりましょうよ。あの遊びをしているグループ、大人も一緒に遊んでいるから違和感はないはずです」
二階堂はキラキラしていた。本当に子供好きなんだな…。

二階堂はイベントに混ざる前に小声で「任せて下さい」と鼎に言っている。


遊びをしているグループには着ぐるみのうさぎとくまがいた。うさぎは「グーチョキパーでグーチョキパーでなにつくろ〜なにつくろ〜」とずっと歌いながら遊んでる。

その前にはじゃんけん大会をやっていたらしい。だから人が多いのか。
ねことパンダは風船配りをしてる。端から見ると微笑ましい光景だが、ここに怪人が潜んでる。

二階堂だけイベントに混ざるのはおかしいからと、彩音も混ざることにした。鼎は少し離れた位置から見てる。
擬態型がいるとするならあの4体のどれか…。


しばらく二階堂と彩音は子供達と一緒になって、うさぎやくまと遊んでいた。今のところ異変なし。少しして、うさぎに異変が。
突如、着ぐるみのうさぎが変貌したのだ。数秒前まで笑顔で溢れていた会場が悲鳴に変わる。

擬態型は着ぐるみのうさぎだった。うさぎは両腕を鋭利な爪へと変貌させ、子供達に襲いかかる。
二階堂は即座に反応→右腕の義手を刃物展開した。場所が場所なので銃は使えない。彩音は必死に避難させている。鼎もブレード片手に二階堂の元へと走った。


「今すぐ逃げろ!このうさぎは怪人だ!!」

鼎は珍しく人々に叫びながら二階堂の元へ来た。
「鼎さん、こいつヤバいです。意外と強い…」
二階堂は義手から展開した刃だけで戦ってはいたが、制約のある戦いに苦戦している。

この場所は人が多いため、銃が使えない…。応援の隊員も避難誘導に数人来た。

「私は避難誘導します。鼎さんと二階堂さんはそいつを倒して下さい」
応援に来た隊員の1人に桐谷がいた。
「わかった」
鼎はブレードを起動させる。使い勝手が以前よりも良くなってる!まるで対の刀のような感覚だ…。

宇崎から通信が入る。
「その着ぐるみ擬態型、腕に気をつけろ!見た目は可愛いが、油断するなよ!」
「了解」
「室長、銃…使っちゃダメですよね…」
「二階堂か。お前には義手の火炎放射と雷撃があるでしょうが!場所が場所だ、そっちを使いなさい」
「了解」

鼎は怪人と斬り合いをしているが、いまいち。室長の言う通りだ、こいつの変幻自在な腕が厄介すぎる…。鋭利な爪の次は巨大なボクシンググローブのように変化。鼎はあっけなく吹っ飛ばされた。

「二階堂、そいつの腕は危険だ!」
「わかっていますって。今、一撃で倒します。見ていて下さい!」

あの構えは…雷撃だ。雷撃をやるのか!?
二階堂は左腕の義手を雷撃モードにし、エネルギーチャージしている。

二階堂はチャージ中。今、二階堂がやられたら…鼎はなんとか立ち上がり、再びブレードで立ち向かう。
「鼎さん、時間稼ぎお願いしますね」
「当然だっ!」

鼎はブレードを発動させたわけではないが、叩くようにして怪人に攻撃。怪人の注意は完全に鼎に行ってる。鼎はちらっと二階堂を見た。

そろそろチャージ完了か…。


「鼎さん、離れて!!」
二階堂は叫んだ。左腕を前に突き出した構えをしていた。雷撃チャージ完了の合図。左腕は帯電している。

鼎はダッシュして怪人から離れた。二階堂は的をうさぎの着ぐるみ擬態型に定め、最大出力で雷撃を放つ。

周囲が青白い眩い光に包まれた。雷撃の威力は凄まじく、着ぐるみ擬態型を撃破。
二階堂はかなり消耗していた。鼎は二階堂を支える。

「大丈夫か?」
「雷撃の最大出力初めて使いました。消耗が激しいですね…」
二階堂は少しふらついている。鼎は二階堂の腕を肩にかけた。

「二階堂、よくやったよ…」


本部・司令室。宇崎は着ぐるみ擬態型の分析をしていた。そこにやってきたのはイベント会場に行ってた鼎達3人。

「お、おかえり。今着ぐるみ擬態型の分析中だが、意外と強いなこいつは…。ピンポイントで強化型だよ」
「ピンポイント強化型!?」
二階堂はオーバーに反応する。
「二階堂の雷撃がなければ倒せなかっただろうな。場所が場所だけに銃は無理だったから二階堂を同行させて良かっただろ?鼎」
「あぁ」

「…あ、鼎。真中から連絡が来ていたぞ」
「咲から!?」
真中とは鼎の高校時代の友人。
「同窓会のことでなんとか言ってたな。東條先生も来るんだとさ。鼎…遅れた卒業式…出るんだろ?」

「遅れた卒業式…」


鼎は複雑そうな声を出し、うつむく。13年前のあの事件のせいで、全てを失った鼎には卒業式なんてものはなかった。

二階堂は鼎(=悠真)の事件については知ってはいたが、詳細までは知らなかった。あの火傷では人前には出られない…。事件直後ならなおさらだ。
特に顔の大火傷の跡は…。


「すまない、しばらく1人にさせてくれないか…」
鼎は司令室を出た。彩音は心配そうに鼎の背中を見る。背中が寂しそうだった…。


二階堂は例の事件の詳細をようやく知り、戦慄する。13年前にそんな悲惨なことがあったなんて。鼎さんはそのたった1人の生存者…。
今は名前を変えているため、都筑家とは縁を切っている。一部、親戚で鼎に親身になる人も1人くらいはいるのだが…。

組織で鼎が活躍したことで、都筑家の親戚の一部は鼎=悠真だと薄々気づいている者もいるにはいるが、鼎は人前では基本的に仮面姿なのでわからない。


鼎は1人、ある場所にいた。そして真中に連絡する。

「もしもし…咲か?」
「あ、悠真。悠真…いや鼎だよね?久しぶり。最近どう?」
「なんとかやってるよ。新セクションもなんとかなってる」
「同窓会…行くの?先生も来るし、悠真…鼎の卒業式やるって言ってるから」
「……行くよ…」

鼎の声が泣きそうになっていた。真中は鼎の声が涙声になっていることに気づいた。


「鼎…泣いてるの?」

「色々あったけど…複雑で…。卒業式の名前は『悠真』でやるのか『鼎』でやるのか。私はもう『紀柳院鼎』として生きているから…。悠真は私の中にいる」
「良かった。悠真は死んだわけではないんだね」
真中の声は優しい。

「考えが変わったんだ…。一時期『悠真は死んだ』とずっと言ってたことがあったが…。『都筑悠真』も私だ。だから…」

「無理して言わなくてもいいよ。じゃあ体に気をつけて。同窓会は2週間後だからね。ラフな感じでやるから知り合いとかも連れてきなよ。そっちの方が緊張しないからさ」
「咲、ありがとうね」
「いいんだよ。私はゼルフェノアのこと、鼎のこと…応援してるからね。たまに組織に怪人情報リークしてるんだよ!?」
「そこまでやらなくてもいいだろうに」

いつもの咲だなーと思い、電話を切る。咲は咲なりに応援してるんだ。
それにしても同窓会が2週間後って、ちょっと急な気がするが…東條先生が来るなら行こうと思う。


真中は東條に早速連絡していた。

「同窓会に紀柳院が来るのか!?」
「先生の名前出したら行くって。かなり複雑そうでしたけど…。あの事件以来だからなぁ…」

「遅れた卒業式の卒業証書は両方の名前で出すよ。どちらも紀柳院であり、都筑だからね」



擬態型、かなり厄介な感じだ。二階堂がいなかったら、イベント会場が悲惨な目にあってたはず…。
その二階堂、初めて雷撃最大出力を使用。

着ぐるみ擬態型怪人はピンポイント強化型で強いらしい?
うさぎの着ぐるみ擬態型…ちいかわの影響かなぁ。


その後の同窓会があるよの下り、二階堂と真中は複雑そう。二階堂は事件の詳細を知らなかったから戦慄した模様。
二階堂は鼎の仮面の理由は前から知ってはいたんだが…。


真中は真中で複雑そうだな。同級生が変わり果てた姿になってるというのもあるが、その鼎が組織で活躍してるのが真中の支えみたいになってる。
名前や姿は変われど友人にはかわりないから。

高校当時・悠真の担任だった東條先生、遅れた卒業式の卒業証書の名前…両方にするのはめちゃくちゃ優しい。どちらも同一人物だからというのもある。


同窓会…鼎さん泣くかもな…。