怪人が出現した現場ではパニックに包まれている。隊員達は連携して市民を避難させつつ、戦闘員と交戦中。
ゼノク隊員からは三ノ宮と粂(くめ)も出撃していた。


粂は三ノ宮に聞いてる。

「敵の分析進んでるの!?」


三ノ宮は本部でいう、解析班のような役目が多い。
「ただのメギド戦闘員ではありません!注意して下さい!」
「わかったよ!」


粂は弓矢で確実に戦闘員を狙っているが、いつもと違うせいか苦戦していた。

「なんなのこいつら!?」


苦戦する粂に対して御堂はゼノク隊員達に声を掛けつつ、応戦。
「この戦闘員は今までのと違うみてーなんだわ!その中のどれかが中級メギドに進化するから気をつけろっ!!」

「進化!?」
「中級いえども妙につえーんだよっ!だから進化した奴を倒せる奴は限られてくる」

「何その無理ゲーみたいなミッション!?」


粂は矢を撃ちながら御堂と通信してた。粂の矢は追尾砲のようにコントロール可能な対怪人用のものだが、威力はあまりない。
牽制や撹乱がメインの粂にとってはキツい戦闘。

三ノ宮はゼノク隊員達に敵の分析データを提供、サポートがメイン。戦えるけどインテリらしい戦闘をする。
彼からしたら即座に分析出来るのは強み。ゼノク隊員の三ノ宮は解析班とは顔見知りでもある。



晴斗と鼎はブレードと肉弾戦で戦闘員を撃破していくが、今回は数が多い!
この中から進化態が出てきたら…。


彩音と桐谷も銃で応戦していた。彩音は得意な関節技で時折戦闘員を倒してる。

桐谷は対怪人用ライフルでスナイパーと化してした。

「数が多いですねぇ…。次から次へと」



二階堂は現場に到着した。戦闘員の数が多い。よく見ると見慣れた色じゃない…。
戦闘員は二階堂をロックオン、数ある戦闘員のうち2体が進化態へと変貌。

粂は二階堂へ叫ぶ。
「二階堂!なんで来たの!?逃げて!」
「粂さん、私…決めました。戦うと」


戦う?どうやって!?


粂は二階堂の義肢に気づいた。いつもの義肢じゃない…。


二階堂は進化態1体相手にいきなり義手を展開→ゼロ距離射撃→銃撃しつつ刃物展開、近接戦は右腕の刃で戦う。
左手には対怪人用の銃を構えてる。


粂と三ノ宮は驚きを見せる。
戦闘兼用義肢!?


二階堂は左脚の義足を展開、膝下の刃物を展開させ→一気に蹴りかかる。
義足の刃は進化態を的確に捕らえていた。


晴斗と鼎ももう1体の進化態と交戦中。ブレードをそれぞれ発動させ、一気に斬りかかった。
往生際の悪い進化態は鼎を狙うが、鼎は進化態を見ずに斬り捨てた。

鼎には静かな怒りが見えているようにも見える。
進化態…一体誰がこんなものを…!



二階堂vs進化態、二階堂は義手の手のひらを敵に翳した。義手の手のひらにあった「あれ」がなんなのか、知りたいっ!
すると義手の手のひらから突然、真っ赤な炎が出たのだ。火炎放射だった。

二階堂の位置的に進化態に火炎放射はクリティカルヒット!
二階堂本人も火炎放射に驚いている。


火…出た。戦闘兼用義肢、思っていたよりもスペックすごいんですが!?


二階堂はなんとか火炎放射をやめ、さらに銃撃する。右腕は銃撃モードだが左手には対怪人用銃。
二丁拳銃のようなもの。二階堂は銃で殴りつつ、とどめに義手を展開し→義手から展開した刃物で突き刺した。



二階堂は驚いていた。
た…倒しちゃった…。中級メギド…。


やがて他の隊員達も残りの戦闘員を一掃。
二階堂は疲れたのか、かなりゼイゼイ言っている。そこに三ノ宮と粂が。


「すごいよ二階堂。戦えるなんて知らなかったよ!」
「私もびっくりして…います…。戦闘兼用義肢があれば私も戦えるって…」
「二階堂さん、隊員になれば強力な戦力になると思いますが」

「三ノ宮さん…だからここに来たんですよ…。『武器』を得たから守るために戦うって」


本部隊員達も合流。

「二階堂、お前すげーじゃんか。あれで初めてなの?」
御堂はなんとなく聞いた。
「…はい」


なんちゅうセンスの持ち主だ。戦闘兼用義肢を初めて使ってあれって、どんな戦闘センスがあるんだこの人!?
見た目は大人しそうなのに…。



二階堂の鮮烈なデビュー戦から数日後。


ゼノク・司令室。


二階堂は蔦沼と西澤の元へと来た。


「あ、あの…ゼノク隊員についてなんですが…」
「決めたのかい?」

蔦沼は優しく問いかける。


「はい。もう決めました。ゼノク隊員にして貰えないでしょうか」

「そう来ると思ったよ。二階堂、いきなり戦闘兼用義肢を使いこなすなんて素質ありすぎだよ?火炎放射に気づくとは」
「あ、あれは偶然で」
「わかってるさ。君はまだまだ伸びる。戦闘兼用義肢、どんどん使いなさいな。日常生活は問題ないみたいだから、戦闘にさえ慣れれば大丈夫みたいだね」


長官は最初からわかっていた?



こうして二階堂は正式にゼノク隊員になる。制服もカスタムし、戦いやすいようにして。
二階堂は長官の義手は自分のものよりもハイスペックだと知った。上級者向けの戦闘兼用義手らしい。



本部・司令室。


時任は宇崎にゼノクへ行けるか聞いていた。

「いちかの兄貴ってゼノクにいたのか…。前会ったのいつ?」
「一昨年です」
「よし、いちか。お前の兄貴に会わせてやるよ。兄貴はゼノクスーツ姿だから顔は見れないが、ゼノクに問い合わせたらあっさりOKだったよ。明日にでも行ってきな」

「あ…ありがとうございます!」


時任は嬉しかった。兄貴に会える…!
電話は頻繁にしていたが約2年ぶりに会えるので、時任が喜ぶのも無理もない。


宇崎は喜ぶ時任を見守った。


こいつもずっと強がっていたからな…。兄貴になかなか会えなくて。お兄ちゃんっ子だって聞いたが、本当みたいだな。