絲庵は隊員達の様子を見ていた。その中に白いベネチアンマスク姿の女性隊員がいる。
あの女が「紀柳院鼎」か…。
絲庵は鼎の姿を確認したが、上官から「蔦沼を倒せ」と命じられたためにもどかしい感じに。
近くにあの女がいるのに倒せないってなんなんだ…。
絲庵は手を翳し、攻撃。ゼノク本館に被弾。
ターゲットは本館と研究施設だった。このどちらかに蔦沼はいる…!
ゼノク司令室は研究施設にあった。本館にはダミーの司令室。
絲庵の攻撃は研究施設に向けられたが、研究施設を守る強力なシールドにより相殺されてしまう。
シールドだと!?
この様子を楽しそうに見ている人物がいた。鐡だ。
「ドンパチやっていますなぁ〜。絲庵とやら、お前の実力…もっと見せてくれよ」
絲庵はなかなか姿を見せない蔦沼に焦りを見せている。
舐められているのか?
突如、本館屋上から何かが飛んできた。絲庵に向けて。
絲庵は咄嗟に避ける。屋上から対怪人兵器が起動したのだ。
司令室では蔦沼がニヤニヤしてる。ものすごい悪役顔で。
「対怪人兵器の出番が来たようだねぇ。元老院副官には実験台になって貰おうか。これ、ようやく試せるよ」
西澤は嫌な予感がした。長官にスイッチ入っちゃったー。
自分が出れないからって、遠隔操作出来る対怪人兵器使うなってーの!
この兵器が起動したことにより、隊員達の出番がなくなる。
御堂達は本館屋上を見た。砲身がこっち向いてるんだけど!?砲身の延長線上には絲庵がいる。
砲身はジリジリと絲庵に向けて発射される。絲庵はその兵器に向かっていく。破壊する気だ。
屋上へ人間離れしたジャンプをし、その兵器を破壊しようとする。
司令室では長官が味方とは思えないゲス顔でスイッチを押した。
「実験台になってくれてありがとね〜」
蔦沼は冷たく言い放った。
絲庵と兵器の距離は1mも離れていない。兵器から弾が発射され、激しい音がこだまする。
絲庵はギリギリ怪人態になり、被弾を免れたが白い仮面は怪人態でもそのままなので顔は一部しかわからない。
それでも少し打撃を受けていた。
絲庵はなんとか人間態へ戻り、姿を消す。
御堂達は消えた副官を見た。
「結局何しに来たんだ?あいつ…」
アラートは解除され、シェルターに避難していたいちかと眞達は恐怖から解放されていた。
「兄貴、慣れてるんだね」
「ゼノクは研究施設よく狙われるから、俺達慣れてんだよ。避難慣れってやつだ」
「そこは慣れたらいかんでしょ…」
やがていちかは兄との別れの時間になる。
眞は本館ロビーでいちかを見送った。
「いつでもお前の活躍見てるからな!」
「兄貴、連絡してね」
いちかはゼノクを後にした。
翌日。本部・休憩所。
霧人は時任と話してる。
「兄貴に会えたんだ。良かったな」
「顔は見えなかったけどね…。ゼノクスーツのあのマスク、顔全体を覆ってるからさ…。口元モゴモゴしてたから一生懸命に喋っているのはわかったよ」
元老院では絲庵がこっぴどく鳶旺(えんおう)に怒られていた。
「お前…目的を忘れたのか!?絲庵…『紀柳院鼎』に気を取られていたのかね?」
「そ、それは…」
「ごまかしても無駄だというのにな」
鐡は物陰から見ていた。
互いに潰し合えよ、元老院ども。
鐡は晴斗に興味を示していた。
暁晴斗とかいうやつとバトってみたい…。
あいつはメキメキ成長しているようだが、遊んでやろうかねぇ…。