都内某所・簡易補給所。簡易補給所は複数設置されており、隊員による炊き出しなどが行われている。
炊き出しは避難住民にも行われていた。

補給所は食糧と弾薬などの装備、2種類存在。


「うわぁ〜。温かいごはんだよ〜。ああぁ〜ありがとうございます〜」
時任は炊き出しの豚汁とおにぎりに感動。炊き出しの組織隊員達も市民を守るために必死。

「そう言って貰えると嬉しいな」


時任は彩音達と束の間の休息をしているが、スカイツリーの方向では激しい音が。

「あやねえ、今支部隊員達が鳶旺(えんおう)が戦ってるんだよね…。つっきーやつるさん達、大丈夫かなぁ」
つっきーとは月島のこと、つるさんとは鶴屋のこと。



都内某所。


「久留米!ありったけの爆薬持ってきて!!」
「ここら一帯瓦礫の山にする気かよ!さすがにそれはマズイだろうが!」

荒っぽい久留米も鶴屋の提案に引いてる。


鳶旺は鶴屋の結界を壊しにかかっている。

ヤバい…。3重の結界が…。結界持たせんの、キツくなってきた…。



都内某所・組織のとある施設。鼎は医療チームから結果を聞いていた。

「紀柳院さん、あなたが戦える回数はあと持って2回あるかないか……」
「2回…だと!?」
「色々調べましたが、あなたが言ってた通り火傷のダメージと、蓄積された戦闘のダメージが影響しています」
「やはりそうなのか…。2度と戦えなくなるのは確実か…」

鼎の声に力がない。そんな中、鼎のブレード・鷹稜(たかかど)が淡く発光。


「鷹稜が反応してる…」

鼎は鷹稜を手に取った。すると鷹稜は独りでに動き出す。

「窓を開けてくれないか。鷹稜が行きたがっているようだ」


医師は「一体何を言ってるんだ?」という顔をしながら窓を開ける。すると鷹稜は勢いよく外に出た。

「向かったみたいだな」
「向かったって…どこに…」

「…仲間のところだよ」




晴斗達は突如飛んできた、鷹稜に驚きを見せた。

「鷹稜が飛んできた!?」
御堂は淡々としてる。
「晴斗、お前に使って欲しいんじゃねぇの?鷹稜は。だってお前…恒暁(こうぎょう)と鷹稜、2つ使うとめちゃめちゃ威力上がるっつーか…。とんでもない力発揮してるじゃんか」


晴斗は淡く発光した鷹稜を手に取る。すると晴斗のブレード・恒暁も共鳴。

「共鳴してる…」



都内某所では蔦沼が再び参戦。

「君たち、僕が来たから安心して」
「ちょ、長官!?なんでいるの!?」

久留米、オーバーリアクション。鶴屋はかなりギリギリまで耐えていたようで。

「助かります!結界破られる寸前でした!」
「鶴屋、よく頑張った。
…鳶旺。この闇を侵食させてどうするつもりだ」

鳶旺は結界をバリバリと破ると蔦沼の問いに答える。

「破滅だよ。世界の破滅。終わりの始まりさ」


終わりの始まり――


蔦沼は両腕の義手を展開。出力最大にしているせいか、既に小さな雷撃が発生している。

失敗は許されない。チャンスは1度だけ…。
鳶旺を倒すにはこうするしかない…。


蔦沼はいきなり鳶旺の枝分かれした赤黒い翼のような棘を掴むと、一気に雷撃を浴びせた。

「うぎゃあああああ!!」
蔦沼の読みは当たり、鳶旺は棘から感電。


「まだまだ行くよ。こっちは覚悟を決めたんだ」
蔦沼は雷撃から一気に炎を纏った右腕で鳶旺怪人態に殴りかかる。強烈なパンチは鳶旺をぶっ飛ばした。


蔦沼が再び参戦したことで、ゼルフェノアは優勢に。
彼は戦闘兼用義手を最大出力にしたため、体力の消耗が激しい。


暁のブレード二刀流が「光」になるかもしれない。早く来い…暁…!



晴斗は恒暁・鷹稜の2つのブレードを携えながら、霧人のバイクで移動。

「霧人さん、いいんですか!?」
「ブレードが2つあるってことはそういうことだろ。バイクなら小回り利くし、通信だと今…蔦沼長官が再び戦闘しているな。
情報によると、長官はあの義手を最大出力にしたと聞いた。失敗したら即アウト」
「即アウトって…」

晴斗は恐る恐る聞いた。


「失敗は許されない、1度きりのチャンスに長官は賭けたんだよ。戦闘兼用義手は最大出力にするとかなり消耗も激しい。危険なんだ」



蔦沼はジリジリ体力を削りながら次々攻撃を仕掛けていく。
義手を刃物展開し、ブレードに熱を帯びた攻撃をする。これは最大出力でしかなし得ない技。


マズイな…体持つか?



組織のとある施設には北川が。


「紀柳院、体調はどうだ?」

「前よりは幾分良くなりましたが…。あと2回あるかないかしか戦えないと聞いて…ショックで…。わかってはいたのだが、私は戦えなくてもゼルフェノアにいられますよね…」
「あぁ、大丈夫。紀柳院のために司令も色々と考えているみたいだから」

「北川さん、今頃晴斗達は必死に戦っている。…連れていって欲しい」
「そう言うと思ったよ。十分休んだはずだから、動けるだろ?」

鼎は十分休んだせいか、回復していた。



簡易補給所では狭山が到着。

「二階堂!遅れてすまない!義手届けに来たぞ!!」
「狭山さん、ひとりで来たんですか?」

元怪人の釵游(さゆう)こと、狭山蓮はそっけなくジェラルミンケースを開けた。ケースの中にはスペアの戦闘兼用義手が。


「二階堂、右腕の義手外せるか?それ、鳶旺にバキバキに折られたんだろ?」
「折られたせいで自力では少し外すの難しくて…」

「あー、ちょっと見せて。なるほどね。俺、ゼノクで西澤から二階堂の義手の取り外しの手解き聞いたから。練習もしたよ」
「狭山さんって…本当に元怪人?」
「それは忘れろ。ちょっとこの義手、切断しないと外せないぞ。
二階堂の本当の腕は二の腕あたりか?」
「右腕は二の腕で切断されています」

「怪人の能力はもうないけど、なんとなくわかるんだよ。触ればな」
狭山は慎重に折られた義手を触り、本当の腕の位置を当てた。そして対怪人用ブレードで義手の一部を切断→取り外ししやすくなった。

「これだけめちゃめちゃにやられると大変だな。
戦闘兼用義手は精密機械みたいなもんだから、切断は本当はやっちゃいけないが今は緊急自体だからね」


そして義手が外された。二階堂の義手は滅多に外されないような、最新鋭の仕様になっている。だから元の腕が露になることは滅多にない。


「この義手…最新鋭のものだね。1度装着するとしばらくは外さなくてもいい仕様になってるんだな。
装着するの久しぶり?」
「久しぶりすぎて…」
「手伝おうか?」

二階堂は久しぶりの装着に手間取っているようで。狭山は結局手伝ってあげた。


「はい、完成。ちょっと動かしてみて。違和感ない?違和感あったら教えてね」

二階堂は指を動かしたり、色々動かしている。違和感はないようだ。

「大丈夫です。これで戦えます」
「んじゃ行きますか」


狭山と二階堂も現場へ向かう。



蔦沼長官vs鳶旺は蔦沼がかなり危ない状況になりつつあった。

「あの威勢はどうした?」
鳶旺は攻撃を受けながら聞いている。蔦沼の義手は右腕が使い物にならなくなっている。最大出力の代償だ。今は左腕だけで戦ってる状態。


そこに晴斗と霧人が到着。

「長官っ!」
蔦沼は振り返った。やっと来たか…。

晴斗はバイクから降りるとすぐさま2つのブレードを発動させる。ブレード同士は共鳴しあい、光が強くなっている。


少しして、鼎と北川・二階堂と狭山も到着。


「鼎さん、なんで来たの!?」
「私だって戦いたくてな…。戦う回数は限られてるが、力になりたくて」

「私も参戦します!」
「俺も加わるぜ」
「二階堂さんに…狭山さん?」


蔦沼は左腕で渾身の一撃を喰らわせ、左腕の義手も使えなくなった。
蔦沼は控えていた南に撤収される。

「長官が無茶したらダメですってば!!あーあ、義手…両方とも使い物にならないですよ…。後は託しましょう」
「そのつもりだったさ」
「両腕の義手、それ修理じゃ利かないですよ。よく生きてましたよね。最大出力はだから危険だって…」


御堂はなんとなく察したのか、御堂も来ていた。

「鼎…大丈夫なのか?」
「だいぶ回復したよ」
「お前…身体のこと…もっと早く言えよな…!心配かけんなよ…」
「…すまない…」


鳶旺は御堂と鼎を狙う。晴斗と二階堂は連携して一方的に攻撃。
狭山と北川は周辺にいるネオメギドを次々撃破していく。


狭山は元怪人なせいか、身体能力が高い。巧みな槍さばきで次々倒してる。
御堂も再び銃を構え、怪人を撃破。鼎も肉弾戦で戦ってる。


鼎の戦える回数はブレードの発動回数のことらしいが、肉弾戦でも短時間で消耗していた。
「鼎、もうやめろ!肉弾戦だけでこの消耗って…お前相当身体がヤバいんじゃ…」
「…和希、私だって戦いたいんだよ。1回だけでいいから…わがままを聞いてくれ…」

「お前がわがまま言うなんて珍しいよな。そのわがまま、俺が聞いてやる。無茶しない程度に暴れろよ」