晴斗達がラスボスクラスの鳶旺(えんおう)との熾烈な戦いをしている間、都心の別の場所では隊員達が上級怪人・ネオメギドと交戦中。

支部やゼノクからも隊員は続々集結し、総力戦の様相に。


持久戦に持ち越しとなった晴斗達だが、体力オバケの晴斗と御堂以外は選手交代していた。

「すいません!各地に装備と食糧補給してたんで遅れました!」
「月島さん達やっと来た…」

彩音は援軍に喜びを見せる。

「ここからは俺達がやるから一旦退いて」
高羽が疲弊した彩音達に声を掛けた。
「高羽さんに鶴屋さんも来たの。…あれ?久留米さんは?」

「久留米は偵察してる。あいつ元々偵察が本業だから。ラスボス戦の戦力足りないから来ると思うよ」


月島と鶴屋の広範囲攻撃コンビが来たのはかなり大きかった。
到着に遅れたのは補給を兼ねていたからだという。



本部・司令室。宇崎は次々入る通信とモニターを見ていたが、被害の拡大にかなり焦りを見せている。

「鳶旺はネオメギドも放っているのか…。あの怪人は厄介だっつーのに!」
「宇崎、僕はまた戦いを挑もうと思う」
「長官!?さっきまで義手をいじってたのって…」

宇崎は蔦沼の行動を見逃さなかった。両腕の義手をいじっていたのはそういうことか。


「義手の出力をアップデートした。隊員達のことを考えたら行くしかないだろ」

そこに北川が入ってきた。


「北川、鼎の調子はどうなの?」
宇崎はフランクに聞いてる。

「宇崎、紀柳院は長官の指示通りのあの施設に移動させたが…。彼女は身体の限界が近づいている。
今頃施設にはゼルフェノア最高峰の医療チームが行ってるはずだけど」
「あの凄腕医療チームを派遣させるって、相当だぞおい…。あの施設、病院じゃないけど大丈夫か?」



鳶旺は容赦ない攻撃を続ける。

「しぶといな…」
「お前もしぶてーよ!」


御堂は2丁拳銃で応戦。晴斗もブレードで鳶旺の枝分かれした赤黒い翼の一部を切断にかかる。
晴斗は隙を突かれ、刺されそうになるが間一髪で回避。

「あっぶねぇ…」
「晴斗!油断すんな!!」


御堂は対怪人用銃を威力の高いものに変え、さらに銃撃。
「晴斗!お前よく持つよな体力…」
「御堂さんだって」

鶴屋は特殊札で鳶旺の周囲に結界を展開。月島はギター型の武器を構える。
「暁さん・御堂さん、今から『あれ』やるんで離れた方がいいよ」


あれ?


鶴屋は特殊札で強力な結界を展開。結界は3重にしてある。
そこに月島がギター型武器を掻き鳴らした。音撃の衝撃波はかなりのもの。これには鳶旺も多少だが、ダメージを受けた。


結界に閉じ込める発想、思いつかなかったぞ…。
鶴屋と月島の連携半端ない。高羽は二刀流のブレードでネオメギドを撃破していく。

「2人ともそろそろ休んだら!?」
「休めるかよ、鶴屋!」
「御堂さんと暁さん、いくら体力オバケでも休憩しないとダメだってば。
俺達が食い止めるから、一旦退いてって。支部の隊員舐めてるでしょ。さっき久留米から通信が入ったよ。彼女来るよ」


あの荒っぽい爆弾娘が合流するだと!?
「爆弾娘」とは久留米の戦闘スタイルが爆薬や手榴弾をよく使うことから、御堂が勝手に内心そう呼んでる。


ひとまず、晴斗と御堂は補給も兼ねて一旦退いた。
ここからは支部隊員のみで鳶旺と対峙することに。

久留米はある地点から鳶旺の戦闘パターンを見ていた。
「あいつ、あの羽みたいなもんが厄介だな〜。あれに刺されたら貫通しちゃうわ。…よし」

久留米は鶴屋に合図を出す。結界が一瞬解除された隙に久留米が強力な爆薬を仕掛けていたようで、爆破。

砂煙が上がる中、支部隊員4人は注意深く見る。砂煙の中から赤黒い翼が見えた。明らかにこちらを狙っている。
「鶴屋結界張って!」
「了解」


一瞬の攻防でなんとか隊員達はダメージを免れたが、油断出来ない。
鶴屋の特殊札は使い方によってはかなり強力になる。

だが、鳶旺には決定的にダメージを与えられずにいる。



組織のとある施設。鼎はようやく目を覚ました。

「ここは…病院…ではないな」
「鼎さん、目を覚ましたんですね」

組織の施設職員が安堵してる。


「ゼルフェノア最高峰の医療チームが到着しました。蔦沼長官からの命で」
「…ここ、病院じゃないだろ?どうするんだ…」
「あなたがあと何回戦えるか、調べると。医療チームは言っております。そして最善を尽くすと」

「2度と戦えなくなるのはわかっている。戦えなくても組織にいれればそれでいい」
「居場所がこの組織ですもんね」



晴斗と御堂はかなり疲弊していた。いくら体力オバケでも限界がある。


「あいつどうやったら倒せるんだよ…!」
御堂は悔しげ。
「鶴屋さんいなかったらヤバいよ。支部隊員、本気出すとあんなにもヤバいのか…。月島さんと久留米さんのスペックおかしいよ」

「鶴屋もおかしい」



本部では蔦沼が再び動き出していた。


「長官また戦うんですか!?」
宇崎は大袈裟に反応。

「じゃないと終わらないよ、この戦い」
「義手、出力最大にしてましたよね…大丈夫なんですか?」

「失敗したら即アウトだよ」


失敗したら即アウトって…かなり本気だ、この人。

長官も止められなくなったか。





第51話(下)に続く。