1階・講堂――
ここに御堂以外の隊員が集められ、武装集団に拘束。5人の武装集団の監視があるために、彩音達は動けず。下手に動いたら殺される…!
5人の武装集団は時々脅し、恐怖を倍増させていた。
武装集団は10人。5人は講堂・リーダーは管理塔・レオナは6階の部屋に鼎と一緒にいる。フユヅキは司令室で拘束した宇崎を監視。
残りの2人は御堂と追いかけっこ状態。御堂は追われる身になっていた。
「こいつらの目的は俺なのか!?めちゃめちゃ追いかけてくる!!足はぇぇ!」
「御堂隊長〜、遊びましょ〜」
ひとりは遊び感覚で御堂を襲撃してくる。もうひとりはマシンガンで威嚇射撃。
「逃げ足速いな…あいつ」
マシンガンで威嚇射撃したひとりが呟いた。
「応援呼ぶぅ〜?」
「それはいらんだろ」
御堂はなんとか2人を撒いた。本部で捕まったらジ・エンドの鬼ごっことか、悪趣味すぎるぞ。
なんなんだ、こいつらは…。
隊員達は講堂にいる。司令室には室長がいるはずだ。鼎はどこかへ連れられたみたいだが…まだ本部内にいるはず。封鎖された状態だ。本部の外には出てないだろう。
リーダーとおぼしき人間は管理塔か?じゃないとシステム遮断なんて出来ない。司令室でもシステム操作は出来るが、サブ的なもの。
この状況、どうするかな…。あの2人は倒さないとならないが。
2つ目の時限爆弾が爆発。今度は南館3階。
また爆発かよ…!
本部の外でも爆発は確認出来た。機動隊も緊迫。
「また爆発か…」
「中の様子がわかればいいんだが」
「ゼノクから隊員が来る。突入の契機を作ると聞いたが…」
6階のとある部屋では鼎がレオナと話をしてる。
「お前は私の敵なのか?味方なのか?」
「…まだ言えませんよ」
「加賀屋敷について教えて…くれ…」
鼎は発作が出たのか、苦しそう。命に別状ないものだが、重い発作が出たようだ。
「こんな時に限って…!」
鼎は悔しそうな声を上げる。彼女はゼイゼイ言っている。
レオナは鼎の症状を見抜いた。
「重い発作なようですね。ちょっと待ってて下さい、処置します」
「…お前は…一体何者なんだ…?看護師か?」
「緊急なので仮面、外しますが良いでしょうか…」
「…敵に素顔を見せるなんて…出来るか……」
「このままだと危ないんですよ!?」
「なら好きにしろ」
鼎はレオナに身を委ねることに。正直怖いが、看護師か何か医療関係の人間だと感じてはいた。
レオナはそっと鼎の仮面を外す。そしてどこからか、簡易酸素吸入器と薬剤を出した。
レオナは苦しそうな鼎の口元に吸入器を当てる。
「少しは楽になりましたか…?」
鼎はレオナに素顔を見られたくないのか、ずっと顔を伏せている。
「あぁ…少しはマシになったよ」
「これを太ももに打って下さい。薬剤です」
鼎は太めの注射器のような筒を渡される。とにかく助かりたい彼女は思いっきり太ももに打った。
薬剤のおかげか、かなり症状は緩和されたようだ。
「…助かった……」
鼎は安堵の声を出した。
レオナは鼎に再び仮面を装着させている。痛すぎないように、優しくしているようだ。
「お前は一体何者なんだ?症状を見抜いたあたり…医療関係者だろ」
「まぁ…そうなりますかねぇ。私は加賀屋敷の専属の看護師でしたから。私はあなたの味方ですよ」
加賀屋敷専属看護師?
「少し…加賀屋敷について話しましょうか」
鼎を2度治療した天才外科医・加賀屋敷。蔦沼長官に拾われてゼノク医療チームへ抜擢されたらしいが、その過去は謎に包まれている。
「これを知ったらあなたの認識が変わってしまいますが…加賀屋敷は闇医者だったんです」
「闇…医者?」
鼎は何がなんだか理解出来てない。元闇医者が…ゼノク医療チームのチーフ?どういうことだ?
「理解するまでかかるでしょうからこれくらいにしておきます」
「…どういうことなんだ…?お前も闇医者の看護師だったということか?」
レオナは部屋を出る前にあの筒型の薬剤を3つ、渡した。
「さっき太ももに打った薬剤がこれです。重い発作が出た時に使って下さい。
この薬、本来なら国内では使えませんが…かなり症状は緩和されます」
「闇医者稼業をしているのか、お前…」
鼎は発作のこともあり、薬剤を受け取った。
レオナはガスマスクを再び装着すると部屋を出た。
「紀柳院司令補佐はこの部屋にいた方がいいですよ。安全ですから」
その頃の御堂。武装集団2人と命懸けの鬼ごっこはまだ続いてる。
「トモムラ、御堂…撃っていい?」
「いいんじゃない?リーダーが言ってたじゃん。御堂は自由にしてもいいって。あくまでも紀柳院だけは危害を加えるなと」
御堂は会話から鼎の名前を聞いた。
こいつらは鼎に危害を加えない。つまり、鼎は無事。室長は…どうなんだ?
御堂は2人に激しい肉弾戦をし、なんとか気絶させることに成功。急いで司令室へ。
司令室。宇崎はフユヅキと膠着状態。
「君たちは本部を乗っ取って何をしたいんだ?」
「撃たれたいの?司令」
「…おい、答えろよ」
宇崎は足技を使い、フユヅキの銃を蹴り飛ばした。
普段はふざけている言動が多い宇崎だが、戦うとめちゃくちゃ強い。
フユヅキが気を取られている間に宇崎は縄脱けをしていた。
「司令…あんた…」
「君たち、『ヴェルダの夜明け』だろ」
ちっ、知ってたのか。
御堂は6階へ到着。そして鼎と再会。
「鼎!良かった…大丈夫か!?」
「あぁ、発作が出たが…助けられた」
「助けられた?んなバカな。相手は武装集団だぞ?」
「和希…『レオナ』という女には手を出さないでくれ。そいつは加賀屋敷に関係していた人間だ。私を助けた人でもある」
「この武装集団…ただ襲撃しているわけではなさそうだな。鼎を助けるって、どういうことだ?」
「なぜか私に対しては丁重に扱われたよ。どういう意図があるのかわからないが」
司令室では宇崎がシステム操作を試みる。
「やっぱりハッキングされたままか…」
宇崎はフユヅキを倒し、気絶させていた。
宇崎は通信してみることに。
「誰か返事して!」
「室長、無事だったのか」
このぶっきらぼうな声は…和希?
「俺を拘束したやつを倒したよ。気絶させたから」
「室長、やるじゃん。…室長、鼎は無事だよ。なぜか丁重に扱われたらしいし、発作の処置も受けたとよ」
「相手は鼎のことを熟知しているのか。こっちもわかったよ。武装集団は『ヴェルダの夜明け』っちゅー輩だ。
本部を占拠したのはパフォーマンスかもしれない」
「はあぁ!?隊員全員拘束されてんし、犠牲者も出たんだぞ!?」
「その武装集団のリーダーが出てくればいいんだが」
「そう、簡単に出てくるか?」
本部の外では動きが。ゼノク隊員4人が合流。
三ノ宮はハッキングされたシステム解除に四苦八苦してるが、ジリジリ攻めている模様。
「三ノ宮さんはそのまま続けて下さい。私と粂(くめ)さんは外部から突入出来るか、見てきます。狭山はそのままいて下さい」
「ちょっと…見てくるってどうやって!?」
機動隊のひとりが慌てるそぶりを見せた。
「こう…やってです」
二階堂は右腕の義手を展開、粂は特殊な弓矢を構えた。
対怪人用の装備なら、人間には無害なのは聞いてたが見た目はなんら変わらない。機動隊は初めて戦闘兼用義手を目の当たりにする。
あれが…戦闘兼用義手。見た目は最新鋭の義手にしか見えないが…。
「では偵察してきます」
「私はこの矢を撃ちこむわ!」
2人は一気に臨戦態勢に入る。
「なんか外に動きがあったみたいだな…和希」
「外?」
御堂は外を見た。わかりにくいが機動隊とゼノク隊員の姿がちらほら見える。
警察は動いてたのか…。
ゼノク隊員って誰が来たんだ?解析班が拘束されている今、システム解除出来る人間は…三ノ宮しかいない。
特別編 (3)へ続く。