謎の怪人が間を空かずに襲撃してきてから約1週間後。調査結果が出た。


「ネオメギド…?なにそれ」

晴斗はぽかーんとしている。小田原と北川が説明している。場所は司令室。
司令室に本部・支部の主要隊員が召集された。


「ネオメギドという怪人は、これまでの中級メギド以上の強さを誇るものらしい。怪人の鞭の残骸を分析したところ、植物系だと判明した」
「植物系?そう言えばあの怪人、やけに刺々しい見た目だったけど。鞭は蔓だったのか」

御堂、妙に納得。


北川が付け加えた。

「ネオメギドのターゲットは紀柳院であることは間違いない。暁、お前も気をつけるんだ。紀柳院と暁の能力は元老院が欲しがっている」
「北川さん、なんで元老院が俺と鼎さんを狙うんだ…?」

「2人の能力(ちから)は強力だ。恐らく…能力を強奪して、ヤバいものでも考えているのかも」
「なおさらヤバいじゃん」


晴斗は気になっていたことを聞いてみた。
「小田原司令・北川さん、なんで俺…鼎さんのブレードが使えたの?逆はないよね」


言われてみれば鼎は晴斗のブレードを使ったことがない。
本来、対怪人用ブレードはその隊員用に作られているため、本人しか使えない仕様になっている。

「紀柳院の鷹稜(たかかど)は能力(ちから)を介して第三者に使えるようになったんだろう。一時的にね。あの時、ブレードは共鳴していたみたいだが」
「第三者にも鼎の鷹稜が使える条件が『共鳴』なのか!?」


御堂、北川に聞き返す。

「過去に紀柳院は本人がいなくてもブレードが勝手に移動して、怪人を倒したことがあっただろ。
どうやら鷹稜には意思があるらしい。共鳴と関係しているかはわからないが…。もしかしたら恒暁(こうぎょう)にも意思はあるのかもね」

俺のブレードにも意思があるらしいって、マジか!?



支部・トレーニングルーム。御堂はある実験をすることに。


「晴斗、鼎。試しに互いのブレードを交換して使ってみろ」
「御堂、どういうことだ」

鼎、御堂に詰め寄る。
「もし、2人のブレードに相互作用があるなら鼎も晴斗のブレードが使えるはず。晴斗は2回、鼎のブレードを使っているあたり…何かある」


2人は互いのブレードを交換、使ってみるがまるっきり斬れない。


「全っ然斬れない!?あの時は斬れたのに!?」

晴斗、「なんで!?」というリアクション。鼎も晴斗のブレードに感触がないことに気づく。


「まるで木刀だな…。斬れないぞ」

鼎は晴斗のブレードを何回も確かめてる。この実験は呆気なく終了。2人は互いのブレードを返した。


御堂はある仮説を立てる。


「びっくりするくらいに何も起きなかったな。どういうことだ?鼎の『共鳴』が関係してんのか?」
「…わからない。私も思ったのだが、能力は常に発現しているわけではない。戦闘中に出やすいが…条件があるようなんだ」

「条件?」
「敵の攻撃無効化・浄化が出た時は強く思っていた時に出ていた。『守りたい』…とか。鷹稜には意思があるらしいから、反応しなかった時もあるが」


鼎の「思いの強さ」が関係してるのか?条件自体は鼎もいまいちわかってないっぽい…。

逆に晴斗の場合は超攻撃的な発動・レイジングスラッシュの力が増してる気がする。なんで力が増しているのかはわかっていないが…。



支部・隊員用休憩所。囃達支部の主要隊員達も気になっていたようで…。


「暁さんと紀柳院さんのブレード、何か関係あるのかなぁ」
月島が呟いた。久留米がしゃしゃり出る。

「あの2人って、顔見知りなんだっけ。紀柳院は名前変えてるけど、彼女が『都筑悠真』なのは本当みたいだねぇ。
あの仮面…引っ掛かってた。私たまたま見ちゃったんだよ。紀柳院の素顔、チラッとだけど。火傷の跡かな…酷かった」
「おい久留米、余計な詮索すんなっ!」


囃、思わず止める。囃は主要隊員達に言った。

「紀柳院の正体が何者であっても『素直に受け入れろ』と司令からお達しが出てる。久留米…少しは口を慎めよ」

「…はーい」
久留米は渋々返事をした。


支部の主要隊員には小田原司令からお達しが出ていた。支部隊員は本部隊員よりも癖が強い隊員がいるせいもある。

まぁ、久留米のことなんだが…。



鼎は自分のブレードを見つめていた。
鷹稜が反応した時…どうだったのか…。

支部のアラートが鳴った。ネオメギド出現。どうやら2体出現した模様。


久留米は最初に飛び出した。
「倒してやらあっ!!」

久留米の戦闘スタイルは荒々しい。囃は制止しようとするが聞いてない。


「バカっ!考えて動け!!」
「んなこと言ったって!私らの立場はどうなんのさ!暁と紀柳院はそんなにも重要なの!?」
「わかんねぇよそんなの!久留米、冷静になれ!」


ネオメギド1体は久留米をターゲットにした。蔓を展開する。


マズイ!!


久留米は呆気なく蔓に捕まってしまう。足元をとられ、思うように動けない。

負けたくない。でも相手には全然効いてない。どうする!?





第39話(下)へ続く。