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第30話(下)

晴斗は父親・陽一と通話中。

「晴斗、どうしたんだ?こんな時間に電話かけてきて」
「…父さん、隊員時代…『オレンジ色のブレードの発動』使ったって聞いたんだけど…本当?俺…使えたんだ。まだ慣れないけど」
「父さんも『同じの』使ってたよ。もしかして…聞いたのか、『ゼノク』から」


「あ…あの、父さん。暁家と都筑家って何かしら繋がりがあるの…?家族ぐるみの付き合い以外で。鼎さん…『元老院』のやつに襲撃されて…入院してる。
今日、一般病棟に移ったって聞いた」
「悠真が!?ちょっと待って晴斗。今、『元老院』って言わなかったか!?」

「それがどうしたの?」


陽一には心当たりがあった。陽一の隊員時代の敵も「元老院」。その当時は鳶旺(えんおう)がワンマンで異空間を支配していたらしく、黎明期のゼルフェノアは怪人相手に苦戦を強いられてた。
ゼルフェノアvs元老院はゼルフェノア黎明期からあったのである。


「いいか晴斗、よく聞けよ。暁家は『怒り』を原動力にして能力(ちから)に変えることが出来るらしい家系なんだ。
今のところはどうやら父さんと、晴斗だけらしいが…。『怒りの正しい使い方』を教えたのはこのため。使い方を誤ると身を滅ぼすことになる。晴斗はうまく使っているようだな。
…都筑家は『守り』に特化しているとか聞いた。潜在的すぎてわからないが。悠真が狙われたのはその力が強いから…と、俺は推測するよ。相手は怪人だ。たとえ名前や姿が変わっても、すぐに見抜いてしまうからな」

「父さん…鼎さんが『悠真姉ちゃん』だったの、知ってたの…?」
「知っていた。母さんにこのことをカミングアウトしたのは俺だよ。だから母さん、あの事件をタブー視しなくなっていただろ?」


晴斗は電話を切る前にこんなことを聞いた。

「鼎さん…事件後しばらくして、組織の施設に匿われていたって本当なの?」
「本当だ。悠真…いや、鼎を支援しに父さんも会っていたんだ。それからして、鼎は駒澤と仲良くなれたみたいだから父さんは身を引いたんだけどね」


駒澤…彩音さんだ。確か、彩音さんはゼルフェノア所属の「怪人被害支援組織ノア」にいた時代があったんだった。その時に鼎さん=悠真姉ちゃんを対面したんだ。


「父さん、ありがとう」

「晴斗、鼎の能力(ちから)はまだ出ていないはずだが、元老院に狙われたとなると…お前が鼎を守れ。
そのブレードのオレンジ色の発動、『レイジングスラッシュ』は本来、人を守るためのもの。鼎の能力はまだわからないが…暁家同様、『人を守るもの』だと予想してる」


れ…レイジングスラッシュ?

あのオレンジ色の超攻撃的な発動に、必殺技みたいな名前があったとは…。


都筑家は潜在的すぎてなかなか表に出ないらしい。悠真姉ちゃんだけうっすらと出ていたらしいが…。



ゼノク・本館隣接ゼルフェノア直属病院・一般病棟。


鼎は幾分回復したが、まだ時間がかかる模様。
鼎がいる病室に御堂と彩音がお見舞いに来た。


「鼎…無茶すんなって言っただろ…」
御堂は怪我人を前にしてるので言い方が普段に比べたら少しマイルド。

「あの時、体が勝手に動いてしまったんだ。気づいたら刺されてた」
「鼎、何か思い出せない?なんで元老院に狙われたのか…とか。西澤室長と蔦沼長官は晴斗と鼎、『2人』を狙っているみたいなことを言っててさ…」

彩音は聞いている。鼎はポツポツと言い始める。


「あの事件以前…変なものに後をつけられていたことが度々あった」
「それってストーカー…」
「それがおかしいことに人間という感じがしなかった…。異形のものというのか?今思えばあれは怪人だったかもしれない」


鼎=悠真はあの事件以前から、小さな異変があったということになる。


「都筑家は暁家と家族ぐるみの付き合いがあったが、他にも繋がりがあったらしい」
「えっ?」

「能力(ちから)だ」


え?能力?能力って何!?


「私もわからないが…都筑家は暁家同様、『人を守る』ための能力(ちから)があったらしい。だが…あの事件でもう、誰にも聞けなくなってしまった…」


鼎の声に力がない。鼎はあの事件で家族を失っている。詳しく聞ける人間がもう、いない。

「暁家なら…どうだろうか…。それかうっすら聞いた、『北川』という…ゼルフェノア最初の司令なら」


御堂は「北川司令」という名前に聞き覚えが。
「北川司令…いや、北川さんと連絡が取れれば…」



本部では招かれざる客が来ていた。宇崎は明らかに敵視している。

「お前ら、鐡一派!何しに来たっ!」


鐡達3人は普段と服装が違った上に、鐡はやけに丁寧な語り口で話す。めちゃくちゃ腰が低い。

「今回は同盟を組みましょうという話をしたいのですよ。司令」
「はあっ!?」
「だからゼルフェノアの敵は『元老院』でしょう。俺達の敵も『元老院』。あの元老院の長・鳶旺(えんおう)はかなり厄介だからな」


宇崎、かなり戸惑う。
そこへ時任が何も知らずに入ってきた。

「うぎゃー!なんで敵の皆さんがいるんすか!?」
「敵じゃない。同じ敵を共に倒す『仲間』だ」

釵游(さゆう)がさらっと答えた。時任は胡散臭げ。
「味方ヅラしても無駄だかんなっ!!テメーら」

時任、知らぬ間に口が悪くなっていた。御堂達がゼノクに行ってる間、時任と霧人が現場で回している状態なのもあるのか?


鐡は宇崎にこんなことを言う。
「ゼルフェノアだけでは倒せないぞ、元老院は。ずっと敵対してんだろ?だから決着のお手伝いを俺達がしようってわけ。下心はないぞ」
「室長、どうすんすか!?」
「長官に掛け合ってみるか。長官判断で決まるから」



ゼノク・司令室。


「長官、本部から連絡来てますよ」
西澤は慌ててる。蔦沼はマイペース。

「…どうした、宇崎」
「蔦沼長官、信じるかはわからないですが『鐡一派』が共に元老院を倒しましょうと同盟を持ちかけて来ましてですね…」
「なるほどなぁ。鐡一派の敵も『元老院』だから共に倒そうという魂胆か」
「長官、どうします?」


「あえて乗ろうじゃないか」
「乗っちゃうの!?長官頭おかしくなった!?相手は敵ですよ!?」
「元老院を倒すまでの間、一時的でも味方になるなら都合がいいからね。暁と紀柳院を元老院から狙われずに済むには…敵同士戦わせればいい。
鐡は頭が切れるみたいだから何かしら策がありそうだが…。とにかく乗ってみようか」


「…だ、そうだ。…というわけでゼルフェノアは君たちと組む流れになりました」
「本当か!?」

鐡、嬉しそう。こうしてゼルフェノアと鐡一派は元老院を倒すという一時的な同盟が組まれることになる。

…いびつな同盟だが。



これを聞いて衝撃を受けたのはゼノク隊員と本部から派遣された隊員達。


「その話マジなのか!?鐡一派と同盟って…長官どうかしてるぞ」
御堂が珍しく慌ててる。二階堂は冷静に見てる。

「長官のことなので、何かしら策があるのではないかと…。あえて話に乗ったのではないでしょうか」
「その節めちゃくちゃ強そうよな…」

晴斗もパニクっていた。つい最近まで戦ってた相手がいきなり味方とか、理解が追いついてない。


「鐡が味方って、意味わかんないよ〜!」
「元老院がそれだけヤバいってことなんだろうな…。鐡の敵も元老院か。…これ、どうなんのよ?」



蔦沼の一声でゼルフェノアと鐡一派は同盟を組み、元老院撃破を目指すことになるが…果たして?


第30話(上)

蔦沼長官vs鳶旺(えんおう)戦から約1週間後。本来ならゼノクへ派遣された本部隊員は今日、本部へ帰る日なのだが。


ゼノク・執務室。

晴斗達、鼎を除く4人は長官がいる執務室を訪ねた。


「あ、あの…蔦沼長官にお願いがあって来たのですが…」
晴斗は何とか声を絞り出す。御堂は晴斗の肩をポンと軽く叩く。御堂なりの「頑張れ」という意味らしい。


「もう少し、俺達をゼノクへ置いて貰えないでしょうか。…その…鼎さんを置いて本部に帰りたくないんです」

蔦沼は晴斗が懸命に声を出している姿を優しい眼差しで見る。蔦沼の側には南が控えているのだが、蔦沼はいきなり椅子から立つと晴斗のところへ来た。

「君たちのことだからそう来ると思ったよ。既に本部には連絡済みだ。紀柳院と一緒に戻りたいんだね」


彩音は気になっていたことを聞いてみた。
「蔦沼長官、あの日…元老院の長は本当に鼎を狙ったのでしょうか…」

「その件か。僕たち上層部も調べているが…暁と御堂の証言からするに、鳶旺は『暁と紀柳院』双方を狙っていると見て間違いないだろう」


俺と鼎さんが!?


「鳶旺は紀柳院の本名を知っていた。そして暁のことも知っていたのが明らかになった。紀柳院は暁を庇ったんだ、捨て身でね」
「鼎さんの容態はどうなの!?」


晴斗はかなり気にしている様子。思わずタメ口に。

蔦沼は答えた。


「紀柳院の状況だが、あの棘の1つが体を貫通していたことが判明した。あと1pずれていたら紀柳院は即死だった」
「えっ…」
「まだ安静だから一般病棟には移れない。回復を要するんだ…」


この話を聞き、晴斗達は複雑な面持ちに。蔦沼は付け加えた。
「致命傷を免れただけマシだから。紀柳院と一緒に戻るまでの間、ゼノクを守って欲しい」



本部・司令室。
宇崎は蔦沼からの連絡を受け、元老院の狙いを探るように。

「晴斗と鼎が狙われた…。鼎はなんで無茶したんだよ…あいつは…。
元老院の狙いは『都筑悠真』なのか?晴斗は煽られたっていうし…。元老院からしたら、鼎(悠真)の生存は都合が悪いのか?」



ゼノク・司令室。
晴斗は西澤に呼ばれていた。

「暁、調査の現段階ですが…どうも君の能力(ちから)が関係してるみたいでね」
「能力?」

晴斗はきょとんとしている。
「あの超攻撃的な発動は君の父親・陽一も隊員時代に同じものを使っていたんだ」
「父さんも!?」
「どうやら暁家はヒーローの血筋なのか、その能力(ちから)は君に引き継がれたようなんだ。元老院はそれをどうしたいのか、狙っているらしい」


あの超攻撃的な発動は偶然じゃなかった!?
晴斗はおずおずと聞いてみた。
「鼎さんは…悠真姉ちゃんはなんで…」

「紀柳院に関してだが、どうやら都筑家は潜在的な能力(ちから)があったらしく、その能力が強いのが悠真…つまり紀柳院だったわけです。
暁は紀柳院とは事件前から互いに知ってる仲だが、何か悠真について知ってないか?彼女の能力は謎が多いが、元老院が狙うほどとなると…」
「すいません、俺…わからなくて…」

「潜在的なものだから、事件後に顕著に出たのかもしれない。現に悠真は事件後、名前を変えた後に組織の施設にしばらく匿われていた。北川さんなら知っているかもしれない」


「北川」って…ゼルフェノア最初の司令だ。



晴斗は司令室を出た。暁家と都筑家に隠された秘密を知った気がしてまだ動揺している。
あの発動は父さん譲りのものだった!?嘘だろ!?

偶然にしては出来すぎてるとは感じてた。


12年前の怪人による連続放火事件、最後のターゲットは都筑家だった。
晴斗はふと、何かを思い出した。

悠真姉ちゃん、ストーカーみたいな得体の知れないものにつけられてたと言ってたのって。まさか。



異空間・鐡の本拠地。


「元老院のやつ、躍起になってんな。あの2人を狙っていたとはね〜。暁晴斗と紀柳院鼎の2人か。鳶旺があの技使うってよほどだぞ?」

あの技とは赤黒い棘のこと。見た目は血管みたいに枝分かれしている。


「鳶旺はあの能力(ちから)を使って、2人の能力を奪う気なんだろうよ。世界を破壊するためによ」
「鐡様、いつの間に調べたんですか?」


杞亜羅(きあら)が聞いている。鐡は米粒くらいの黒い丸い物体を見せる。

「この超小型メギド達を元老院の屋敷に侵入させたのよ。そしたら隠し部屋の中も判明した。元老院…もとい、鳶旺のやつはこの世界を壊したいらしい。
俺からしたら暁の能力奪われたら困るんだよな〜。あいつは俺の遊び相手だ。紀柳院鼎…あの仮面の女…本人は気づいてないが、潜在的な能力がある。あの仮面の女の能力はわからないが…元老院から奪われたらオシマイなのには変わりねぇ」

「ゼルフェノアに手を貸すのか!?」
釵游(さゆう)は鐡の発言に驚いてる。鐡には鐡の策があるようだ。


「『元老院』という、共通の敵が出来たんだ。一時的に同盟を組もうじゃないか」
「そんなん信じますかね…。ゼルフェノアは攻撃してきますよ!?」

「なーに、大丈夫だ」


どこが「大丈夫」なんだよ鐡!敵と同盟組むって…。意味わからない…。


「杞亜羅・釵游、俺達は元老院を潰すんだろ?この場所は元老院に完全に支配されちまっている。元はそうじゃなかったのによ」



鳶旺戦からそれから約1ヶ月が経過した。





第30話(下)へ続く。


だるい


話題:おはようございます。
昨日の拍手18個ありがとうございます。昨日風呂だったんで、今朝は洗濯からの風呂掃除コンボで疲れた…。

おまけに生理のやつが来たんで体がだるい…。



昨日のガンダム急展開すぎるだろ…。グエル退学させられたんか…。グエルは株が上がっていたキャラなだけに、あの引きはうわー次回めっちゃ気になる。
あのエラン、何人目なんだろうか…。

それよか、ミオリネさんのツン度が増しててヒヤヒヤした。あれはスレッタ傷つくやつだわ…。
しれっとニカ姉とシャディクの関係が微妙に露になってきたが、まだわからんよね。こっちも気になる。


次回「地球の魔女」っすか…。ヤバそうな敵が出てきたな。かなり好戦的なキャラっぽい…。

だんだん大人の思惑が絡んできてるし、プロスペラの謎も気になるところだが。なんで娘にエアリアルがガンダムだというのを隠してたのかが謎すぎて…。他にも謎はありそうだが。

ガンダムの仮面キャラって何かしら裏があるよね〜。そんな感じがする。



昨夜、自己満小説を自分で書いておきながら一気にキツい展開にしてしまい。内心うわー。
「鼎さんが敵から晴斗を捨て身で庇う」というのはいつぞやに見た夢からインスピレーションしたのですが、文章にすると生々しいな…。

ナチュラルに流血してますし…。


30話から敵の思惑がだんだん絡んできます。30話は敵よかほぼ味方の話だが。
ダブル主人公に関して、さらに深堀りする感じになるかと…。

鐡も水面下で動いてるぞ。



それにしても今朝は寒いな…。

カフェ記事上げてない。カフェで買ったパン記事もまだ上げてない…。



昨夜はなぜかクラシック音楽館の交響組曲ドラクエだけ見てから寝た。なんでかはわからないけど、他の番組がくっそつまらなかったとしか…。


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