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第25話(下)

長官からの連絡を受け、急いで司令室のメインモニターを切り変える宇崎。
そこには鐡と戦う晴斗の光景が。


よく見ると晴斗のブレードは見たことのない色に変化していた。
トリガー1回→刃は赤色に変化、トリガー2回→刃は青色に変化…までは設計通りだが、あの赤みがかったオレンジ色は想定外。

「長官、あれ…暁はトリガー3回引いたってことですよ。プログラムされてない事態が起きています!」
「想定外のことが起きてるなぁ…。暁が入ってから」


蔦沼は呑気。宇崎は突っ込む。

「呑気にしている場合じゃないですよ!あの黒づくめの男、あいつは…」
「鐡だろ?元老院と敵対している、『メギドを統べる者』だよ」


蔦沼はなぜ鐡が出てきたのか、推測。
元老院を潰すために動き始めたか…。元老院と敵対しているというのは本当みたいだな…。



異空間・元老院。


元老院の長と副官は鐡の行動に苛立ちを見せている。


「鐡、挑発なのかあれは…」


絲庵(しあん)は意図がわからない様子。鳶旺(えんおう)はかなりイライラしている。

「我々に喧嘩を売っているのか…!鐡め…」
「あの戦闘員、やはり進化態を生み出したのは鐡で確定ですね」



晴斗vs鐡は持久戦になりかけている。いくらタフな晴斗でも強力な敵相手なせいか、消耗が激しい。

ヤバい…体が持たなくなってきたかも。スタミナ切れか…?


鐡はニヤニヤしながら楽しんでいる。攻撃の手を緩める気がない。

「スタミナ切れかな、暁くんよぉ」
「うっせーなっ!」

晴斗はゼイゼイ言いながらも攻撃をやめない。この発動、ものすごく消耗する!


遠くから見ていた鼎はなんとか立ち上がる。そして銃を構えた。狙いは鐡。
鐡の注意を引き付ければそれでいい。

鼎は狙いを定める。そして1発、鐡に向けて発砲。弾は鐡の頬をかすめた。


鐡はこちらを見た。鐡は一気に鼎に急接近する。そして一言言い放つ。

「せっかく楽しいショーなのに、邪魔してんじゃねーよ。紀柳院鼎」
「晴斗を見せ物にするな」
鼎は語気を強めに言う。

「しかし、俺に弾を当てるとは…気の強い女だな。初めてだぜ、こんなにぞくぞくしたのはよ」


鐡はあっさりと攻撃をやめ、街から姿を消す。
去り際に鐡は晴斗と鼎に言った。

「言っておくが、あれはまだ本気じゃねぇ」


まだ「本気」じゃない!?


鐡は愉しげにしながら消えた。



ゼノク・隊員用休憩所。


今回の戦闘で隊員達の士気が微妙に。

「鐡…強すぎる…」
晴斗達は反省会モードになっていた。
「戦闘員が進化態にしたのはあの男なのは確定みたいですね」
二階堂は分析。

「敵は元老院だけじゃねぇってことか。元老院の奴らと鐡に何が起きてるかはわからねーが、厄介なことになったな…」

御堂もかなり厄介だな…というような感じ。



鼎はひとり、東館にいた。流葵(るき)と話たかったからで。

「すまないな、流葵。話し相手になって貰いたくてな」
「いいんですよ。私も紀柳院さんと話したかったですし」


――しばしの間。


「そんなことがあったんですか…。鐡…私は知らないです」
「元老院の他に敵がいる…」



ゼノク・司令室。


「鐡があれほどまでに強いとは…。厄介だな〜」
西澤は映像を繰り返し見ている。蔦沼は付け加えた。

「元老院の長・鳶旺並みかそれ以上だね。鐡の存在に気づかなかった僕も僕だが…」
「それにしても暁のあの発動はなんなんだ!?想定外すぎるでしょ!?」

「暁の中に眠っている力でも目覚めたのかな」
「んなバカな!?あり得るの!?」


「さぁねぇ。彼の場合は怒りと関係していそうだが、何かしらありそうだな」

第25話(上)

元老院副官・絲庵(しあん)の襲撃?から約5日。それは突然訪れた。
ゼノクから約5km離れた地点。鐡は指を鳴らし、進化型戦闘員を複数召喚。

戦闘員達は街を荒らしていく。鐡はビルの屋上から高見の見物をしていた。
「早く遊びたいぜ、暁…」



ゼノクにアラートが鳴ったのはそれから約10分後だった。隊員達は現場へ急行するも、鐡の罠だとは知らない。
鐡からしたら他の隊員なんて、どうでも良かった。



晴斗はブレードと肉弾戦を駆使し、戦闘員と戦うが妙に強い。進化態になってないのになんでだ!?
これには鼎と御堂も気づいていた。戦闘員が進化態になってないのに強化されてる…!

二階堂も戦闘兼用義肢を使い、次々攻撃していくが強さが違うことにようやく気づいた。
こないだ戦った戦闘員とは違う…。色だけじゃなく、強さも違う!?


牽制・撹乱する援護の隊員達も変だとは思った。明らかにおかしい…。
粂(くめ)と彩音は気づいたせいか、攻撃手段を変えることに。


上総(かずさ)はそんなことお構い無しに次々斬り込んでいくが、ほとんど効いてないことに気づいたが遅く攻撃を受けてしまう。



鐡は楽しそうに見てる。

「この進化型戦闘員を倒せるかな?まぁこれはメインじゃねーが。メインは…暁晴斗、お前だ」



晴斗は何かに気づいた。ビルの屋上に人影が。
その人影は屋上から消えた…と思った。いきなり晴斗目掛けて飛び降りながら攻撃してきたのだ。

晴斗はブレードを発動させ、その攻撃を受け止める。あと数秒遅かったら、大ダメージを受けていたところだった。


鐡は右腕を剣に変化させ、晴斗を狙い撃ちしていた。

「また会ったな、少年。いや…暁晴斗くんよぉ」
「お前は鐡!?」
「俺の遊び相手になってくれて楽しいぜ」

鐡は一気に攻めている。晴斗は圧されてる。


こいつ…めちゃくちゃ強い!!


鐡はニヤリと笑いながら楽しんでるようだ。あくまでも鐡からしたら「遊び」なので本気じゃない。
だが晴斗には…ここにいる隊員達には鐡はあまりにも強すぎた。


鐡は晴斗と戦いながら戦闘員を指揮してる。

「暁に隊員どもを近づけるなよ」

戦闘員達は理解したのか、攻撃を強める。
鼎の戦闘制限時間がじわりじわりと迫っている。御堂は彩音に叫ぶ。

「彩音、鼎を撤退させろっ!」
「わ、わかった!」


彩音はなんとか鼎を安全な場所へと連れていく。鼎はかなり息を切らしていた。
あと1分でも遅かったらかなり不味かったかもしれない…。鼎はだいぶ消耗している…。


彩音は銃を構えつつ、鼎の様子を見る。制限時間ギリギリだったから鼎は動けそうにない。私が鼎を守らなくちゃ!



上総・粂・三ノ宮・二階堂のゼノク隊員達は三ノ宮の分析を元に進化型戦闘員の弱点を突く作戦に出た。
これには御堂と桐谷も便乗。

「三ノ宮、助かるぜ」
「僕のことはいいから早く!分析は僕の戦いですから」
「だってよ、御堂。私らも連携しよう」
「粂…」


戦闘員は隊員を狙い、次々攻撃していた。だがずっと劣勢でいるわけにもいかない。
粂は今までとは違う矢を3本、つがえた。

「三ノ宮、特殊な矢を放つから確実に倒せる座標教えて!」
「了解しました。粂さん、2時・6時・11時の方向にそれぞれ矢を撃って下さい!全力で!!」

「ありがと。じゃあ私も本気出すわよ」


粂はギリギリと弓を全力で引く、すると3本の矢に気のオーラのようなものが発生。
「届けっ!!」

粂は一斉に矢を放った。気を帯びた3本の矢はそれぞれの座標通りに分散→最後に爆破した。
「まずは一発目。まだ行くわよ。三ノ宮、次の座標は?」

粂と三ノ宮の連携で次々爆破させていく。


二階堂は義手をさらに展開し、銃撃モードに腕から砲身が出ることに気づいた。

指から銃撃出来るだけじゃなく、腕にも砲身が隠されてた…!
腕の砲身は弾で銃撃するタイプじゃない。弾切れしないタイプのもの。


二階堂はその砲身を使い、立て続けに銃撃&義足のブレード展開で鮮やかに戦闘員に斬り込んでいく。
彼女は独特の戦闘スタイルを作り上げていた。

「なかなか性能いいですね。これなら確実に倒せる…!」



一方、晴斗vs鐡は激しい攻防を繰り返している。

「ハハハ!本当に楽しませてくれるよな〜。お前は」
鐡高笑い。
「何がおかしいんだよっ!」

晴斗は特殊発動を発動。鐡相手に効くかはわからないが、やるしかねぇ!
鐡は高笑いしながら容赦ない攻撃を繰り返す。


これが「遊び」だと!?ふざけんなっ!!


晴斗は怒りの勢いでブレードのトリガーを引いてしまう。
知らず知らずのうちに日本刀型ブレード・恒暁(こうぎょう)のトリガーを3回引いていた。

すると晴斗のブレードに変化が。ブレードの刃が攻撃的な色に変化したのだ。赤みがかったオレンジ色。


よくわからないままに晴斗は鐡に攻めていく。ブレードを振る度に激しい波動が出ている。衝撃波だ。

鼎は遠くからでも晴斗が戦っている様子を見ていた。
「鼎、少しは良くなった?まだ動いちゃだめだよ。鼎の身体は制限時間ギリギリまで戦闘したんだから休んでて」
「わかっている…」


二階堂・粂・御堂の猛攻で進化型戦闘員は少しずつ撃破されていく。だが、相手は強化された戦闘員。
進化態になる可能性もある。



ゼノク・司令室。


蔦沼と西澤は晴斗vs鐡の攻防を注視。蔦沼は呑気に本部の宇崎と連絡している。

「あ、宇崎?暁のブレード・恒暁にあんな発動あったっけ?なんかものすごいことになってるよ」
「どういうことですか、長官」
「早くメインモニター見な。暁がとんでもないことになってるよ」


晴斗がとんでもないことになってるだと!?





第25話(下)へ続く。

第24話(下)

絲庵は隊員達の様子を見ていた。その中に白いベネチアンマスク姿の女性隊員がいる。
あの女が「紀柳院鼎」か…。


絲庵は鼎の姿を確認したが、上官から「蔦沼を倒せ」と命じられたためにもどかしい感じに。
近くにあの女がいるのに倒せないってなんなんだ…。


絲庵は手を翳し、攻撃。ゼノク本館に被弾。
ターゲットは本館と研究施設だった。このどちらかに蔦沼はいる…!

ゼノク司令室は研究施設にあった。本館にはダミーの司令室。
絲庵の攻撃は研究施設に向けられたが、研究施設を守る強力なシールドにより相殺されてしまう。


シールドだと!?


この様子を楽しそうに見ている人物がいた。鐡だ。

「ドンパチやっていますなぁ〜。絲庵とやら、お前の実力…もっと見せてくれよ」


絲庵はなかなか姿を見せない蔦沼に焦りを見せている。
舐められているのか?


突如、本館屋上から何かが飛んできた。絲庵に向けて。

絲庵は咄嗟に避ける。屋上から対怪人兵器が起動したのだ。


司令室では蔦沼がニヤニヤしてる。ものすごい悪役顔で。

「対怪人兵器の出番が来たようだねぇ。元老院副官には実験台になって貰おうか。これ、ようやく試せるよ」


西澤は嫌な予感がした。長官にスイッチ入っちゃったー。
自分が出れないからって、遠隔操作出来る対怪人兵器使うなってーの!


この兵器が起動したことにより、隊員達の出番がなくなる。
御堂達は本館屋上を見た。砲身がこっち向いてるんだけど!?砲身の延長線上には絲庵がいる。


砲身はジリジリと絲庵に向けて発射される。絲庵はその兵器に向かっていく。破壊する気だ。

屋上へ人間離れしたジャンプをし、その兵器を破壊しようとする。



司令室では長官が味方とは思えないゲス顔でスイッチを押した。

「実験台になってくれてありがとね〜」


蔦沼は冷たく言い放った。


絲庵と兵器の距離は1mも離れていない。兵器から弾が発射され、激しい音がこだまする。

絲庵はギリギリ怪人態になり、被弾を免れたが白い仮面は怪人態でもそのままなので顔は一部しかわからない。


それでも少し打撃を受けていた。
絲庵はなんとか人間態へ戻り、姿を消す。


御堂達は消えた副官を見た。
「結局何しに来たんだ?あいつ…」



アラートは解除され、シェルターに避難していたいちかと眞達は恐怖から解放されていた。


「兄貴、慣れてるんだね」
「ゼノクは研究施設よく狙われるから、俺達慣れてんだよ。避難慣れってやつだ」

「そこは慣れたらいかんでしょ…」



やがていちかは兄との別れの時間になる。
眞は本館ロビーでいちかを見送った。

「いつでもお前の活躍見てるからな!」
「兄貴、連絡してね」


いちかはゼノクを後にした。



翌日。本部・休憩所。


霧人は時任と話してる。

「兄貴に会えたんだ。良かったな」
「顔は見えなかったけどね…。ゼノクスーツのあのマスク、顔全体を覆ってるからさ…。口元モゴモゴしてたから一生懸命に喋っているのはわかったよ」



元老院では絲庵がこっぴどく鳶旺(えんおう)に怒られていた。


「お前…目的を忘れたのか!?絲庵…『紀柳院鼎』に気を取られていたのかね?」
「そ、それは…」

「ごまかしても無駄だというのにな」



鐡は物陰から見ていた。
互いに潰し合えよ、元老院ども。


鐡は晴斗に興味を示していた。

暁晴斗とかいうやつとバトってみたい…。
あいつはメキメキ成長しているようだが、遊んでやろうかねぇ…。


第24話(上)

翌日。時任は2年ぶりに兄に会えるとあってテンション高め。
司令室では宇崎がこんなことを言っていた。


「いちか、言い忘れてた。ゼノクはゼルフェノアの人間ならいつでも行けるんだった。入館するのはちょっと面倒いけどね。セキュリティ半端ないからあそこ」
「ちょ!?室長それもっと早く言ってよ!!」

時任はギャーギャー言ってる。宇崎は根負けした。
「いちか、悪かった。悪かったから行ってきなって。隊員は隊員証がないとゼノクには入れないぞ」
「わかっていますーっ!」


時任は本部からゼノクへと向かった。なんで最初から言わないんだよっ!
組織の人間ならいつでも行けるんかいっ!



異空間・元老院本拠地。

鳶旺(えんおう)はメギド進化態のことが引っ掛かっていたらしい。戦闘員から中級に進化させた奴はどいつだ…?


「なんでしょうか、鳶旺様」
釵游(さゆう)が呼び出された。

「お前、メギドを勝手に進化させたのか?」
「…何のことですかね」


副官の絲庵(しあん)はどうも釵游が引っ掛かっている。あの時、鐡と何やら話をしていたみたいだが…。

釵游はこんなことを言った。皮肉混じりに。
「だいたいさぁ、元老院って人をこき使ってばっかりで表舞台には出ようとしないですよね〜」

「なっ!?」


釵游は鐡に指示された通り、挑発。挑発に乗ってしまったのは絲庵。
鳶旺は絲庵に告げた。

「幹部ごときに挑発されるとは、絲庵はわかっておらぬ」
「…ですが…!」
「おそらくメギドを進化させたのは鐡だ。ならば我々もうかうかしてられん。絲庵、今回はお前が行くのだ」
「私がですか!?」

「蔦沼を探してこい。見つけ次第、倒すのだ」
「しょ、承知しました…」


この元老院副官が出撃する流れにほくそ笑んでいたのは鐡。
俺は簡単にはやられねーよ。元老院副官の実力とやらを見てみるか…。



ゼノク・本館ロビー。


時任は入館し、兄が待っているロビーへ。
時任の兄は全身タイツのような全身を覆うゼノクスーツの上に服を着ているため、わかりにくいが兄は「ロビーの休憩スペースにいる、黒いゼノクスーツの男だよ」と伝えてある。


時任はすぐ気づいた。
「兄貴〜!」

時任は元気に手を振る。黒いゼノクスーツの男性は手を小さく振り返した。やっぱりあの人が兄貴だ。スーツの顔全体を覆うマスクで顔は全然見えないけど、あの仕草は間違いなく兄だ。


時任は2年ぶりに兄と再会。時任の兄は眞(まこと)と言う。
眞はいちかの頭を優しく撫でている。


「兄貴、子供扱いしないでよ〜」
「いや、お前可愛いからさ」

「兄貴、ゼノクスーツ姿が完全に板についちゃってるね…。さながら動く黒いマネキンみたいだよ」
「それは言うな。俺もわかっているから。このスーツ姿になってかれこれ2年半くらいか?」
「2年半…。なんか不便そうだね、そのスーツ生活…」

眞はマスクで顔全体が隠れているため、ジェスチャー多めで話してる。


「そんなことないよ。食事は専用の器具を使えばこのスーツ姿でも食べれるし、匂いも感じる。不便なのはトイレかな…。風呂はスーツを脱がないとならないけど。まぁ慣れだから、慣れ」


兄貴…さっきからナチュラルに触ってくるの、やめれ。相当会いたかったのはわかるが、ちょっとくすぐったいよ…。


「いちか、どうした?」
「兄貴、ナチュラルにくすぐったいからやめとくれ」

眞はいちかからすっと離れる。
「あぁ、悪い悪い。ゼノクスーツは視界が狭いからさ…」


兄貴も苦労してるんだね…。

聞いた話によると、ゼノク治療スーツを着た当初はかなり大変だったらしい。
狭い視界なせいか、しょっちゅうぶつかっていたとか。

ゼノクでこのスーツ着てる人…意外と多いよね…。あえてスーツを着てる職員もちらほら見るなぁ。ビジネスゼノクスーツってやつですかい。
インフォメーションにいた烏丸さん、ゼノクスーツで応対してる…。確かあの人、入居者担当だから配慮してゼノクスーツなんだっけか。


「いちか、庭園に行かないか?散歩がてらにさ」
「庭園ってあったっけ?」
「敷地には大きい庭があるんだよ。中庭もあるけどね。ベンチもあるから休めるよ」
「わかった。行くよ」


それにしても兄貴、黒いゼノクスーツで外なんて出たらめちゃくちゃ暑いんじゃ…。
…と思ったが、外は薄曇り。だから外に誘ったのか、兄貴は。



ゼノク・庭園。


ゼノクにいつの間にこんなデカイ庭園出来てたの!?
いちかはキョロキョロしている。眞は顔は見えないが嬉しそう。

「俺、たまにここ来るんだ。癒されるから」
「兄貴は植物好きだもんね」



そんな中、突如アラートが鳴り響く。眞はいちかを連れて走る。

「ちょ!?兄貴どうしたの!?」
「敵襲だ。シェルターへ避難するぞ」


眞の行き先は外の地下シェルター。庭園のすぐ側に1ヶ所シェルターがある。
眞はシェルターの位置を全て把握していた。

シェルターへ逃げ込み、扉を閉めようとしたが駆け込みで入居者数人もやってきた。
親子だろうか?旦那さんは至って普通の格好をしているが、奥さんと子供はゼノクスーツ姿。いちかは子供のゼノクスーツ姿にショックを受けてしまう。


あの子…まだ小学校上がってないくらいなのに、ゼノクスーツだ…。子供用のゼノクスーツは脱ぎ着しやすいように3ピースにパーツが分かれている。
奥さんは子供を落ち着かせようとしていた。

この親子のゼノクスーツはパステルカラー。子供は声からするに男の子っぽい。


怪人被害って…ひどい…。



ゼノク付近に絲庵1人のみ出現。ゼノクは既に防衛システム起動している。
出撃した晴斗達隊員は面食らうことに。


1人だけ…?


御堂は気づいた。
「こいつ、元老院の一員だ!警戒しろ!」

絲庵の出で立ちは黒いゆったりとしたローブに白いベネチアンマスク、フードを被っている。
絲庵はそこに白手袋をしていた。


絲庵はどこからか笛のようなものを出すと、それを仮面の口元に当てる。不思議と笛は鳴り→戦闘員を出現させた。

「隊員はどうでもいいのです。蔦沼はこの施設にいるはずだ」


絲庵は戦闘員を施設内に仕向けるように指示。それを晴斗達がくい止める。
「侵入させるかよっ!」

晴斗は銃で先制攻撃→肘鉄喰らわせ→羽交い締めにしている。
御堂も肉弾戦で戦闘員複数と交戦中。戦闘員はいつもの戦闘員だったせいかまとめて倒してる。

鼎も銃メインで戦っていた。時々荒い蹴りを喰らわせてるが、鼎の蹴りは重い。


三ノ宮・粂(くめ)も戦闘員相手に応戦してる。
三ノ宮は隊員全員に分析報告をする。

「あの仮面の男…元老院副官と思われます」
「元老院副官!?」


粂がギャーっと驚く。
絲庵は様子を見ているだけで、まだ攻撃をしてこない。明らかに隊員達は眼中にない様子。

二階堂も遅れて出撃した。



ゼノク・司令室。


蔦沼は絲庵の登場にどう判断するか決めかねている。西澤は釘を刺した。


「長官、奴の目的…長官かもしれないですよ!?出しゃばらないで下さいよ」
「あいつ、どう見ても元老院副官の絲庵だよ。パッと見わからないけど、あの白手袋は絲庵だな」

「…で、どうするんですか」
「絲庵次第」


まさか長官出撃するのか!?それだけはやめてくれよ…。
あんたが出たら格好の標的になってしまうだろうがっ!!

敵の思うつぼだぞ!!


西澤はハラハラしていた。長官な奔放さは戦闘でもほとんど変わらない。だから余計に心配なのだ。



一方、戦闘員と交戦中の隊員達は二階堂の加勢によって有利になる。

二階堂は義手を展開し、銃撃と刃物展開で鮮やかに撃破。ちなみに二階堂の義手の刃は対怪人用ブレードで出来ているため、人間は切れない。


絲庵はしばらく黙っていた。何かを見計らうようにして。





第24話(下)へ続く。


三也摩堂駅


話題:今日見た夢
途中まではどこかへ旅してる夢だった。「三也摩堂(みやまどう)駅」というデカイターミナル駅があって、駅舎はレトロ調。
駅構内はどこかちぐはぐしてんの。


その三也摩堂駅から電車に乗り、二埜摩耶(にのまや)駅へ。
二埜摩耶駅はターミナル駅から離れた小さな駅だったのだが、駅前通りはアパートが立ち並び、坂道が多い。着いた頃は夕方で、街灯が怪しく灯ってた。

街並みはレトロすぎるくらいにレトロで、タイムスリップしたような感じだった。どこか町の人達もレトロな格好の人が多い。
大正時代か昭和初期っぽい感じ。


駅前通りを越えてずんずん進むと寂れた館が。廃墟なのかな、人気なし。
館は立派で洋館だった。

なぜか導かれるようにして開いてる門から入る。門の扉は片方開いてた。


館はやっぱり廃墟だった。外観のわりには内部は綺麗だったけど、ちらほら物が散乱している。
ある部屋に入ると、小さなスケッチブックが机の上に置いてあった。

恐る恐るスケッチブックを開いてみる。小さな子供が描いた絵がスケッチブックには描かれていた。
子供の家族らしき絵の中に、黒いぐちゃぐちゃとしたものがクレヨンで描かれてる。

次のページにもその黒いぐちゃぐちゃが描かれてる。
ページをめくると黒いぐちゃぐちゃは大きくなり、あるページは真っ黒に塗り潰されていた。


怖くなった自分、スケッチブックを閉じようとするが最後のページが気になって開いた。
最後のページには血らしきものと黒いぐちゃぐちゃが。


思わずスケッチブックを閉じた。館は何も出なかったけど、怖かった…。



ホラーゲームみたいな展開になっててちょっと怖かった。
子供の絵に異形がいるとか、ホラーゲームにありそうな展開じゃん。

スケッチブックの黒いぐちゃぐちゃがだんだん大きくなってくのが怖かった。
なんだったんだよ、この黒いぐちゃぐちゃはー。


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